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寺田寅彦は忘れたころによみがえってくる

 物理学者で随筆家としても知られた寺田寅彦(1878~1935年)がよみがえっている。BOOKウォッチでは2020年7月19日に『科学歳時記』(角川ソフィア文庫)を紹介したが、9月5日の新聞書評面では、毎日新聞が寺田の『科学と文学』(角川ソフィア文庫)、東京新聞が池内了さんの『ふだん着の寺田寅彦』を取り上げている。

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画像は『科学歳時記』(角川ソフィア文庫)

 寺田寅彦は東京帝大の実験物理の教授だったが、夏目漱石の愛弟子でもあった。『科学歳時記』は代表的随筆39本を集めたもの。このほど再版された。

 毎日新聞書評の『科学と文学』は詩人の荒川洋治さん、東京新聞の『ふだん着の寺田寅彦』は科学ジャーナリストの瀧澤美奈子さんが書いている。

 寺田は「天災は忘れたころにやってくる」の名言(これは書き物の中には残っていない)で知られる。角川ソフィア文庫からは最近、『科学歳時記』『科学と文学』のほか、『銀座アルプス』も出ている。また、中公文庫でも7月に『漱石先生』が出版されている。寺田作品は戦後まもなく一大ブームになったが、再び脚光を浴びている。

 ちなみに『証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人』 (ちくま文庫)には震災当時の寺田の発言が採録されている。直後に「井戸に毒」「爆弾」などのうわさが流れたが、千駄木に住んでいた寺田は、「こんな場末の町へまでも荒らして歩く為には一体何千キロの毒薬、何万トンの爆弾が入(い)るであろうか。そういう目の子勘定だけからでも自分にはその話は信ぜられなかった」と冷静に語っていた。

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