お笑い界きっての仏教通として知られる笑い飯の哲夫さん。今まで仏教に関する書籍を数多く出版しており、著書の累計部数は約10万部を誇るスペシャリストだ。
そんな哲夫さんによる仏教関連の書籍『ザ煩悩』(KADOKAWA)が、3月に発売されている。『ザ煩悩』(KADOKAWA)は、FM大阪の人気ラジオ「サタデー★ナイト仏教」でリスナーから煩悩を募集して厳選し、解決策を講じて書籍化したもの。
哲夫さんは、煩悩とは「煩わしい悩み」と書くと語る。本書では、人付き合いをはじめ、子育てや年金、恋愛に至るまで、人に必ず付いて回る日常の煩わしさに、哲夫さんがユーモアを交えながら解決策を講じている。
例えば、本書では実際に次のような煩悩と解決策が収録されているので、一部を引用する。
■道行く中ですれ違う人の違法行為に憤りを感じています(41才 女性)
哲夫 「(前略)是非この方に紹介したい教義があります。
鎌倉仏教の先駆けとなる融通念仏(ゆうずうねんぶつ)宗では、「一人の念仏が万人の念仏に通じる」という教義があるそうです。念仏が、みんなに融(と)けて通じるんですね。ぜひ、南無阿弥陀仏と一緒に、南無事故無違反とも唱えてみてください。万人にその願いが通じると思いますよ。
もう一つ、これとよく似たスローガンを紹介します。
石田三成の旗印、「大一大万大吉」をご存知でしょうか。こちらを大きなスローガンにして街を徘徊していただきたいと思います。
一人は万人のために、人は一人のために尽くして生きれば、国家は幸福になるという意味です。すなわち事故もなくなるということですね。それでも心に沸く文言が忌まわしいと感じられるなら、八正道の正思を見直してもらうのが最良だと考えられます。無駄に怒る感覚を持たずに無事故無違反を啓発できたらいいですね」
このQ&Aを読むと、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、さまざまな活動の自粛が行われる今こそ、穏やかな気持ちで「一人は万人のために」という視点の大切さに思いが至る。
BOOKウォッチ編集部では、この作品が出版された3月に、哲夫さんに話を聞く機会があった。
7冊も出版するだけの知識量は、どうやって蓄えているのか尋ねると、哲夫さんが次のように語ってくれた。
哲夫 「『なるほど』『へー!』と思うことを仕入れるようにしています。漢字の成り立ちとか、語源とかを調べていくと仏教にたどり着くことが多いのです。
仏教で言っている一番いけないことは、『知らないこと』なのです。無知です。仏教では「無明(むみょう)」といいます。
知らないことを減らしていくのは、僕は好きなのです。
知識の落とし穴というのもあって、知っているつもりでも知らなかったこともあります」
―― たとえば?
哲夫 「童謡の『ゆき』の歌詞ですね。『犬は喜び~』という歌詞は、1番ではなくて2番の歌詞だった。印象に残っていて1番だと思っていた歌詞が実は2番だった。
こういう知らなかったことを集める癖がつきました。大人になってからの方が、辞書が好きになりました」
哲夫さんが語っていた『無明』。
新型コロナウィルスについても、さまざまな情報が飛び交い、誤解や偏見の話題も報道されている。
一人ひとりがしっかりと判断し、行動していくことが求められる今、『無明』ではいけないと改めて感じた。
本書には、ほかにも生き方の参考になるエピソードが数多く綴られているので、#ステイホームでのひととき、手にとってみてはいかがだろうか。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?