外出自粛、学校休校、テレワーク......。非日常と日常が逆転した生活が長引くいま、「コロナ疲れ」「コロナ鬱」という言葉をよく耳にする。子どもも大人も、誰もが何らかのストレスを感じている証なのではないだろうか。そこで、今回は子どもの日にちなんで、「子どものうつ」にフォーカスした一冊を紹介したい。
東京大学大学院教授・下山晴彦さん監修の『子どものうつがわかる本――早く気づいてしっかり治す』(主婦の友社)が4月30日に刊行された。本書は、わが子のSOSのサインにいち早く気づき、しっかり治し、本人も家族も幸せで前向きな毎日を取り戻すための一冊。
「お腹が痛い」「食欲がない」「イライラする」「寝ぼうがつづく」「好きなことに興味がなくなる」......。お子さんに当てはまる症状はないだろうか? これらは、子どものうつ特有のサイン。
「7~15歳の『うつのサイン』に早く気づいて、しっかり治しましょう」――。え、そんなに小さな子どももうつになるの? と驚く人も多いだろう。じつは、小・中学生の10%以上がうつ傾向にあるとする調査もあるほど、いま子どものうつ病が増えているという。早期に発見、治療をしなければ、自傷、ひきこもり、自殺につながることもあるというから、親は無関心ではいられない。
■子どものうつには、特有のサインがある。
「腹痛、食欲不振など、体調としてあらわれる」「かんしゃくを起こす」「イライラしやすい」「朝なかなか起きられなくなる」など、子どものうつ特有のサインがある。また、子どものうつは発達障害から発することが多い、学校でのいじめや親の虐待などの経験がうつ病につながる、ということも知られている。
■症状の悪化を防ぐため、正しい情報を紹介。
子どもがうつになった場合、早く気づいて適切な対応をしなければ、回復が遅れて病気が重くなるおそれがある。ときには暴力、自傷、ひきこもり、自殺などの問題行動につながることも。子どものうつの悪化を防ぐためには、たとえば親がよかれと思い強く励ましたり叱ったりすると回復が遅れやすい、大人のうつ病と違い薬物治療はできるだけ避けるべき、などの正しい情報を知ることが大切という。
■子どものうつには、効果が高く副作用が少ない「認知行動療法」が適している。
「認知行動療法」とは、カウンセラーとの心理相談を行いながら症状の回復をめざす心理療法で、「認知療法」と「行動療法」を合わせたもの。
「認知療法」とは、たとえば「自分はダメだ」「できない」というネガティブな「心のクセ」に気づき、「ダメとはかぎらない」「できることもある」とポジティブに変えていくもの。一方の「行動療法」とは、「いつもより10分だけ早く起きてみる」「これまでとは少し違う遊びをしてみる」など、できるところから少しずつ毎日の行動を変えていくもの。本書は「認知行動療法」の実際の様子、それにより回復した子どもの実例をたっぷり紹介している。
■目次
第1章 子どものうつに気づこう
第2章 うつの要因を知っておこう
第3章 うつからの回復をめざそう
第4章 認知行動療法を受けてみよう
第5章 家族も予防・回復に協力しよう
監修の下山晴彦さんは、1957年生まれ。東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース主任教授。現代の日本社会における青年期の発達の様相を実証的に研究し、青年の心理援助の技法を開発、実践。近年は子どもや若者の心理障害に注目し、その治療法として認知行動療法のプログラム開発、効果研究を行う。うつや強迫性障害などに悩む子どもや若者のサポートを行う窓口を、自身の心理学教室内に開設。東京認知行動療法センター、東京発達・家族相談センターの設立にも携わる。
先の見えない「コロナ禍」に大人も戸惑ってしまうが、子どもと一緒に過ごす時間が長いいまこそ、わが子の体調や行動にアンテナを張り「うつのサイン」を見逃さないようにしたい。
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