米軍がイランの司令官を殺害したことで中東に緊張が高まり、BOOKウォッチでも過去に紹介した『アメリカはなぜ戦争に負け続けたのか――歴代大統領と失敗の戦後史』(中央公論新社)が、ランキングの上位に返り咲いている。
同書は、アメリカによる近年の戦争を分析したもの。冷戦が正式に終結した1991年から現在まで、アメリカは実にその三分の二を超える年月を、戦争、あるいは大掛かりな武力衝突や武力介入に費やしてきた。しかし明白な勝利と呼べるのは、1991年の第一次イラク戦争(湾岸戦争)だけだということをシビアに指摘している。
同書の大きな特徴は、歴代大統領と戦争の関係を掘り下げていること。著者のハーラン・ウルマンは米戦略国際問題研究所、アトランティック・カウンシルのシニアアドバイザー。アメリカの大統領は、軍の最高司令官としての指揮権を持つが、「大統領の経験不足」が近年の芳しくない結果を招いているとみている。とりわけ現職の大統領については、「トランプほど政治経験の乏しい大統領はいない」とシビアだ。
今回の司令官殺害はドローンが使われたとの報道もあるが、BOOKウォッチではドローン兵器の詳細を伝える『ドローン情報戦――アメリカ特殊部隊の無人機戦略最前線』(原書房)も紹介済みだ。
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