新型コロナウイルスの流行を受けてテレワーク(在宅勤務)が広がっている。しかし、やり方が分からないゆえの失礼や、反対に気を遣いすぎて失敗する例も聞く。本書『超基本 テレワークマナーの教科書』(あさ出版)は、長年テレワークを行ってきたマナーコンサルタントによって実践的なアドバイスがまとめられている。
著者の西出ひろ子さんは、マナーコンサルタント、ビジネスデザイナー、ヒロコマナーグループ代表。国内外300社以上でマナー、人財育成コンサルティングを行ってきた。著書に『お仕事のマナーとコツ』(学研プラス)など多数。
西出さんの会社では2011年の東日本大震災をきっかけにテレワークを導入した。当初はトラブル続きだったという。
スタッフは、「ちゃんと仕事をしているのだから、いちいち会社に報告しなくてもいいだろう」と考え、一方、上司である西出さんは、「気になっていることはあるものの、それを訊くことでスタッフがストレスになったら申し訳ない......」と遠慮して、連絡を躊躇したという。
その結果、社内の連携が希薄になり、悪循環に陥った。そこで毎日2回、「業務報告書」を送るルールを導入し、解決した。「離れているからこそ、コミュニケーションには一層の丁寧さが求められるのです」。
本書の構成は以下の通り。
第1章 おさえておきたい! テレワークマナーの基本 第2章 テレワーク中の「コミュニケーション」のマナー 第3章 快適なオンラインミーティングを行う「環境作り」のマナー 第4章 「オンラインミーティングの準備」のマナー 第5章 「オンラインミーティング中」のマナー(一般参加者の場合) 第6章 オンラインミーティングで「ホスト」を任されたときのマナー 第7章 テレワークマナーで知っておきたいQ&A10
テレワークでは「家族の協力」がきわめて重要だという。オンラインミーティングに家族が入りこむアクシデントが頻繁に起きている。家族や同居人とスケジュールを共有しておくことで、アクシデントを避けられる。気を遣いつつ、してほしいことを具体的に伝えることが大切だ。たとえば、以下のように。
「申し訳ないんだけど、10時から1時間ほどオンラインミーティングがあるから、部屋に入らないでもらえる?」
作業スペースも家族と相談してから決めるのがいいそうだ。このほかにも以下のポイントを挙げている。
・相手が目の前にいなくても、「思いやりの心=マナー」ある言動を忘れずに ・テレワークは仕事。オンとオフの切り替えとなるよう、身だしなみを意識する ・いつでもネットに「つながっている」状態にする ・気持ちよく働くために共通の「ルール」を作る ・スマホやパソコンではなく、ちゃんとした「時計」を置く ・挨拶で「仕事スイッチ」をオンにする ・テレワーク中も「休み」をしっかり取る
テレワークでもっとも気を遣うのがオンラインミーティングだろう。本書でも4章を割いて詳しく解説している。参考になると思ったことがいくつもある。
・パソコンにつなぐカメラの高さは「目線」よりやや上に ・「招待メール」にも返信するのがホストへの心配り ・画面に映る「背景」にも十分な配慮が必要 ・オンラインミーティングの「入室は1分前」でOK ・オンラインの「席次」は気にしなくていい ・発言内容が決まっているときは「原稿」を準備しておく
オンラインミーティングのアプリには「席次」に対応したものが出たと聞いたが、西出さんは「これまでの型にこだわるビジネスマナーに縛られるのではなく、新しいビジネスマナー、つまり、相手を不快にさせない気持ちを持って、スマートにビジネスを行うことを大事にしていきましょう」と書いている。
オンラインミーティングのホストとなると準備も大変なようだ。1人で抱えず、「共同ホスト」「連絡係」を頼むといいとアドバイスしている。特に社外の人が参加するオンラインミーティングでは対応に気を遣う。服装や背景など細かなことにも触れているので、参考になるだろう。
BOOKウォッチでは、関連で『テレワーク導入の法的アプローチ』(経団連出版)、『女子の副業』(青春出版社)などを紹介済みだ。
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