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「外国人観光客」が大好きな「日本食」のトップは?

外国人だけが知っている「観光地ニッポン」

 新型コロナウイルスで観光業界が大打撃を受けている。外国人旅行客に頼ってきた観光地はとりわけ厳しい。いったいいつになったら状況が好転するのか。

 本書『外国人だけが知っている「観光地ニッポン」――47都道府県満足度ランキングから読み解く訪日客が好きな日本、感動した日本』(大和書房)は、外国人の目から見た日本の魅力を冷静に分析している。こんなときだからこそ、外国人観光客が戻ってくる日に備えて読んでおく価値がありそうだ。

データに基づく分析

 著者のステファン・シャウエッカーさんは1974年スイス・チューリッヒ生まれ。ジャパンガイド株式会社代表取締役社長。2008年より観光庁「VISIT JAPAN大使」を務める。留学先で日本人に出会ったことをきっかけに、96年、カナダでインターネットの日本観光サイト「ジャパンガイド」を開設。その後、日本人の妻とともに2003年から群馬県に移り住む。以来、「ジャパンガイド」は月間約800万のPVを誇る人気サイトとして、日本の魅力と最新の観光情報を世界に発信しつづけている。

 「ニッポン大好き」という外国人による日本ガイド本は、近年多数が出版されている。その中でも本書がユニークなのは、データに基づく分析をしていることだ。本業で日本観光サイト「ジャパンガイド」を運営していることが大きい。ユーザーである外国人旅行者と双方向のやり取りを通じて、さまざまな声を拾える。

 本書は二つの調査に基づいている。一つは、実際に日本を旅行した外国人が投票する「満足度調査」。もう一つは、外国人観光客が何を求めて日本を訪れ、何を食べ、何を買ったかなどの「旅行動向調査」だ。

サイトに「Coronavirus Outbreak」

 「満足度調査」は2008年から毎年行っている。訪れた観光スポットの満足度を、五段階の星印で評価。本書では47都道府県別の満足度ランキングが掲載されている。北海道では、知床国立公園、利尻・礼文、ニセコの順。それぞれの回答者数も100人から300人もあるので、統計的にも一定の精度があるといえる。なぜそこに魅力があるのか、寄せられたコメントも分析されている。県ごとの一覧が出ているので、観光関係者だけでなく、地元に住む人や出身者にとっても「地元再発見」「日本再発見」の楽しみがある。

 「旅行動向調査」の結果は、第三章の「日本で何を食べた?何を買った?外国人が楽しんだグルメと買い物」にまとめられている。調査は2019年1~3月、回答者は563人。サイトが英語ということもあって欧米人が多い。

 それによると、印象的だった食べ物のトップは、寿司や天ぷらを抑えてラーメンがトップ。おにぎりも人気だ。おやつ、デザート系では、どら焼き、大福、たい焼きが三大人気。コンビニの駄菓子やアイスキャンデーも楽しみだ。外国人を呼び込もうとするなら、これらが「ご当地」にあることが大事だと推測できる。

 「ジャパンガイド」では、ふだんから地震や豪雨などの自然災害情報もこまめにアップしているという。試しにサイトを見ると、新型コロナについても「Coronavirus Outbreak」として情報が掲載されていた。外国人に向けてどのようにリスク情報を発信していくか。観光関係者の参考になりそうだ。

 BOOKウォッチでは、観光立国に関連して、『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』 (新潮新書)、『外国人が見た日本--「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)、『インバウンドでチャンスをつかめ――中小企業における訪日外国人受け入れの現状と課題』(経団連出版)、『訪日外国人からの評判を高める飲食店の対策集――英語ができなくてもできる!』(旭屋出版)、『英語でガイド!――外国人がいちばん不思議に思う日本のくらし』(Jリサーチ出版)なども紹介している。

  • 書名 外国人だけが知っている「観光地ニッポン」
  • サブタイトル47都道府県満足度ランキングから読み解く訪日客が好きな日本、感動した日本
  • 監修・編集・著者名ステファン・シャウエッカー 著
  • 出版社名大和書房
  • 出版年月日2020年1月25日
  • 定価本体1500円+税
  • 判型・ページ数四六判・256ページ
  • ISBN9784479393368
 

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