書評の仕事をしていると、時に本と本の思わぬ結びつきに出会うことがある。本書『AYAトレの教科書』(講談社)もそんな1冊だ。AYAさんは人気のクロスフィットトレーナー。本書をどう紹介しようかと悩んでいた時に、まったく異なる分野の研究者がAYAさんを著書で取り上げていた。
先日、本欄で紹介した『露出する女子、覗き見る女子』(ちくま新書)で、著者の一人・三浦展(社会デザイン研究者)さんがAYAさんを「筋肉女子一般のロールモデル」、「今やボディ系女子にとってだけでなく、大変なカリスマらしい」と評価しているのだ。こんな風に書いている。
「1984年生まれ。175センチという高身長。体育大学を卒業後、スポーツジムで働きながらモデルをしていた。アメリカのモデルを見てその筋肉の美しさに目覚め、みずからの体を改造。今は中村アン、黒木メイサ、道端アンジェリカら芸能人のトレーナーとしても活躍している」
三浦さんは彼女のことをまったく知らなかったそうだが、YouTubeから筋トレ映像を選んで、一番簡単なものから始めたという。4種類8クール、合計5分の簡単なもの。その効果は抜群だった。
「これを5日やっただけで全然違ってきた。筋トレを終えた直後は思わず正しい姿勢で歩いてしまうし、だんだんお腹が硬くなってきたし、苦手だった腕立て伏せがうまくできるようになったのだ」 「しばらく私に会っていない人は、今度会ったらびっくりするかもよ」
還暦をすぎたおじさんがこれほど効果を感じたAYAさんのエクササイズ。その公式テキストブックという本書は、こんな構成になっている。
まず、AYAトレの10のルールを挙げている。
有酸素運動×無酸素運動(筋トレ)のミックスフィットネス 毎回、違うメニュー 正しいフォームで行う ダラダラしないで限界に挑戦 ウェアとシューズは動きやすいものを選ぶ ストップウォッチ、タオル、水を用意 ウォームアップのストレッチを忘れずに キツすぎると感じたらムリせずに 体重は気にしない 食事でしっかり美筋を育てる栄養素を摂る
この後、腕立伏せ、腹筋、スクワットという3大エクササイズの基本と10のスペシャル・プログラムを分解写真で紹介。DVDも付いているので、正しいフォームを身につけることができるだろう。
ところどころにAYAさんの美しく鍛えられた全身の写真とともに、読者に向けたこんなメッセージが載っているので、モチベーションも上がる。
「あなたは自分が何をすべきなのか、もう気づいているはず。ただアクションを起こすだけ」 「まずは自分自身を信じてあげて。あなたの中に眠っているヒーローが立ち上げるはず」
こんな言葉がボディ系女子の心にささるのかもしれない。AYAさんは、「日本総フィットネス化プロジェクト」を掲げ、全国でワークアウトイベントを行っている。
冒頭でふれた『露出する女子、覗き見る女子』では、ボディ系女子はかつてのギャル系だとし、「一人で強く生きていくボディ系女子」は増えていると分析している。上昇志向も強いそうだ。
ボディ系女子にはなれない男性でも、エクササイズの効果があることは三浦さんが実証している。男性向けの筋トレの本も多数あるが、女性向けと思われる本書も役に立つだろう。
本欄では筋トレ関連として、『階段を「下りる」人はなぜ寝たきりにならないのか?』(小学館集英社プロダクション)、『定年筋トレ』(ワニブックス)などが紹介済みだ。
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