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「ナイスバディ」は日本語 「面食い」を正確な英語で言うと...

英語が上手くなりたければ恋愛するに限る

 英語上達の近道は、外国人の彼氏や彼女をつくること―のようなフレーズに巡り合うことがある。そのときは、なるほどと納得したりするのだが、しばらくしてから、でも、つくるにはどうするの?と疑問が浮かぶ。本書『英語が上手くなりたければ恋愛するに限る』(幻冬舎)は、出会いのコミュケーションから教えてくれる。

「出会い」からガイダンス

 日本ではたとえば何かの会合や催しで、隣に居合わせた人とお互い名乗らずとも、しばらく話し込んだりすることがある。本書によれば「英米社会ではありえないこと。ころあいを見はからって自己紹介するのがマナー」。ドラマなどで、日本人が外国人を前にして唐突に「お名前は?(What is your name?)」とやって、笑いのシーンとして演出されてしまうように、まず自分から自己紹介をしなければヘンなやつと思われかねない。

 「My Name is Mariko(わたしはマリコといいます)」それから「What's yours?(あなたのお名前は?)」と尋ねよう。自分の名前を言ったあとで「What is your name?」ではなく「What's yours?」といけるところがスマートにひびく。

 著者のキャサリン・A・クラフトさんは米ミシガン州生まれ、オハイオ州育ち。ミシガン州は、米北東部にある五大湖のうちのヒューロン湖とミシガン湖に東西を挟まれた位置にあり、オハイオ州はミシガン州の南側に接している。クラフトさんはオハイオ州のボーリング・グリーン州立大卒業後、南山大学の交換留学生として来日。現在は名古屋市立大学や大手予備校で講師を務めながら、オンライン英語月刊誌「ET PEOPLE!」編集者、翻訳家として活動している。

 これまでに『日本人の9割が間違える英語表現100』(ちくま新書)『日本人の9割が知らない英語の常識181』(同)や『その英語、ちょっとカタすぎます!』(DHC) などの著書があり、いずれも日本語と英語の違いや、違いよりも少ないながらも存在する共通点に注目した解説が分かりやすいと好評だ。

アノ時のフレーズも

 「英語上達の近道は外国人の彼氏や彼女をつくること」は真かもしれないが、だれも実践できることではない。しかし、文法や単語を覚えようとすることや、ビジネス英語を学ぶより、自分の気持ちや願望を相手に正確に伝えようとする恋愛をめぐる表現に接する方が、興味を刺激されるはず。日常のなかでの恋愛が描かれるラブコメ映画鑑賞を英語習得に利用している人も多いという。

 本書はラブコメ映画との併用で効果がさらにあがりそう。というのも「男女の出会いから別れまで、交際から結婚まで、考えられる状況をリストアップし、恋愛のキーワードを交えながら恋愛物語をつくってみた」もので、ラブコメに共通するシナリオのようだから。出会いのフレーズから進んで、デート編、いちゃいちゃ編などと、読み進むにしたがい関係が深まる構成。「ちゃんとした恋愛英語の本」に仕上げるため、いちゃいちゃ編にはプライベートな場面でしか使われない表現も多く盛り込まれている。アノ大事なときには、こんな風に言うんだ、といちいち感心でき学習効果は大だ。「ナイスバディ」が和製英語だと、このパートで知った。

4技能だけでは実用に不安

 英語について実用能力の向上を目的に、読む・聞く・話す・書く―の4技能を問う内容が2020年度の「大学入学共通テスト」に盛り込まれる予定だが、このことをめぐっては、いまだに批判や反対の声がやむ気配がない。入試が実用性重視になったところで受験生がやることは試験対策に変わりはなく、受験が終われば忘れてしまい、結局は身にはならないのではないかという懸念がある。

 この入試改革に批判的な専門家らが強調するのは、受験テクニックではない英語学習ができる体制づくりだ。そのなかには、言葉と並行して習慣や文化の違いを学ぶことが重要との指摘がある。本書ではフレーズの解説のほか、コラムを設けて、知られざる英語の禁句、ありがちな日本人の欧米人についての誤解、価値観の違いについて述べている。日本人は日本人が特殊と考えがち、謙譲は日本以外では美徳とは限らない...など。4技能が過不足なく発揮されるのは、これらについての理解あってのことなのだろう。

 本書で「sucker(夢中になる人)」という言葉を使っての「面食い」を表す英語フレーズを学んだが、その解説に刺さる響きがあった。「面食いであるのはいいとしても『顔がすべて』であることを強調すると、そのレベルで恋人を選んでいるのかとあきれる人もいるということを知っておいてください(欧米ではとくにその傾向が強いように思われます)」。

  • 書名 英語が上手くなりたければ恋愛するに限る
  • サブタイトル究極のコミュニケーション181のフレーズ
  • 監修・編集・著者名キャサリン・A・クラフト 著、里中 哲彦 編訳
  • 出版社名幻冬舎
  • 出版年月日2018年11月30日
  • 定価本体780円+税
  • 判型・ページ数新書・195ページ
  • ISBN9784344985285
 

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