マイクロソフト(現・日本マイクロソフト)元社長で2000年に退社後は投資コンサルティング会社を経営する成毛眞さんは、書評サイト「HONZ」代表を務めるカリスマ書評ブロガーとして有名だ。1955年生まれだから、同級生たちは60歳で定年を迎えて数年経ったところ。いわゆる「しらけ世代」に属するが、世代間格差が大きいという。
年金に関して言えば、2014年時点の55歳を境に、収め得と収め損が分かれるそうだ。18年で59歳となる人たちが最後の「勝ち逃げ世代」にあたる。これから定年を迎える彼らに向けた先輩からの指南書だ。
「人生後半戦は遊べ!」「定年後はわがままに生きろ」というのがメッセージだ。そして「定年したら、サラリーマン的生活は捨てろ」と、以下のような提案をしている。
・定年後の1週間は金曜日に始める ~曜日感覚を見直す ・大河ドラマはBSで見る ~時間感覚を見直す ・録画・ネット配信を駆使する ~テレビの役割を見直す ・スマホを買う ~ネットとの距離感を変える ・社会に興味を持ち続ける ~ネット証券会社の口座を作る ・照明を入れ替える ~20代の3倍の明るさが必要
また「60歳からは愛想よくしようなんて考えるな」として、いくつかの戒めも。「目的ごとにつきあう人を変えろ」「近所づきあいに深入りするな」「絶対におすすめできないのは起業と農業」などを挙げている。
道具選びもアドバイスしている。定年後の可能性の次元を上げると、いま話題の「ハズキルーペ」のほか、屋内のエンタメ用に双眼鏡、テレビの全録に対応したハードディスクレコーダーとしてパナソニック製品を推している。それらが自分を拡張するツールになるそうだ。
何でも独学派の成毛さんにとって、あらゆることの教師は本だとして、積ん読も恐れるな、と説く。これから読む本は可能性の塊だというのだ。本棚は過去のものだが、「積ん読は未来」という言葉は、カリスマ書評ブロガーらしい。
先日、NHKがAI(人工知能)を特集した番組で、健康や幸福などプラスとなる事象にもっとも関係あるものは「読書」だという調査結果を紹介していた。本を読むことが、スポーツや食べ物の工夫などよりはるかに健康にもよく、幸福感をもたらすというデータに専門家も驚いていた。
成毛さんは「この本で書くことは、たとえば今40歳代の人の定年後の生活には、ほとんど参考にならないはずだ」とまえがきに書いている。世代を限定した「定年本」だが、60歳前後の人には共感できるアドバイスも多いだろう。
本欄では定年にかんする本として『ビンボーでも楽しい定年後』『定年前後の「やってはいけない」』『定年入門』などを紹介している。2018年は「定年本」の当たり年だったかもしれない。
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