聖路加国際病院名誉院長だった日野原重明さんは2017年7月に105歳で亡くなられたが、その後も著書の出版が続いている。とりわけ9月刊の『生きていくあなたへ 105歳 どうしても遺したかった言葉』(幻冬舎)は好調で、ベストセラーになっている。
18年3月にも新たに『最後まで、あるがまま行く』(朝日新聞出版)が出た。朝日新聞の読者にはおなじみだったコラムから44編を集めたものだ。
日野原さんは2002年10月から、朝日新聞土曜版「be」で週一回、「あるがまゝ行く」というコラムを続けていた。始めたときは91歳だった。トータルすれば膨大な量になる。年齢が年齢だけに、終盤はハラハラしながら毎週読み、今週もお元気なようだと胸をなでおろしていた読者も少なくなかったのではないか。
本書では101歳以降に書かれたコラムからエッセイを選んでいる。「101歳 常に前進あるのみ」、「102歳 車椅子という相棒を得て」、「103歳 身体の老いを物ともせず」、「104歳 いま思い出すこと」、「105歳 最後まで、あるがまま行く」という章立てになっている。 興味深いのは、それぞれの章の冒頭に、その年齢の時に行った「講演」「海外出張」「新しく加わった道具」が記されていることだ。
たとえば101歳の年は「講演」は日帰りが98回、宿泊付きが29回。海外出張はアメリカ7日間が1回。道具にステッキが加わった。102歳の年は講演が日帰り71回、宿泊付き15回、海外出張2回(米国9日、英国8日)、道具は車椅子。驚くのは105歳の年。講演が日帰り14回、海外出張が台湾1回(2日)。道具は、足を上げた状態で使用できる介護用リクライニング車椅子。
たんたんと記されたデータだが、最後まで社会的活動を続けた驚嘆すべき生命力と使命感がひしひしと伝わる。本書は、このデータ部分だけでも貴重だと言える。
各章の最初には日野原さん直筆のカット絵が添えられている。高齢読者を意識したのだろう、本文は大きな活字でつづられている。
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