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大英断はいかにしてなされたのか。18のインサイド・ストーリー

 『ビジョナリー・カンパニー』のジム・コリンズは序文で、無数の決断の組み合わせこそが偉大な企業に成長することを可能にしていると示唆しています。本書でとりあげているのは、そうした無数の決断のなかでも、その企業の分水嶺となるような画期的な決断についてです。今後MBAのカリキュラムでとり上げられるケース・スタディとなりうることでしょう。では、2、3ご紹介しましょう。

まず誰もが知っていて、誰もが驚いたジョブズのアップル復帰劇。会社での専横ぶりがたたって、業績を悪化させ、創業者なのに解任されていたジョブズをなぜ? しかし時代状況が再びジョブズの登板を望んでいました。アップルの役員会はカリスマ性のある彼の復帰で、新製品の開発、そして業績の回復を狙ったのです。

「インテル入ってる」のあの「レ、レ、ソ、レ、ラ」の音階は、一時期だいぶ耳にタコができるくらい聞かされましたが、あれも大決断の末のCMでした。CPUの性能は、一般消費者にとっては二の次で、安いなら最新スペックでなくともかまわないという、いわばコモディティ化(汎用品化)が進行していました。ところが、チキータバナナの小さな青いシールがバナナのブランド化に成功したのだから、「インテル・インサイド」のロゴだって、ブランド化に成功するのではないかと提案が出され、キャンペーンが始まったのです。その結果はみなさんご存知のとおりです。

小粒ネタだけれども、ピリッと香辛料の効いた話もあります。ソフトソープのミネトンカは、液体ハンドソープをプラスチック・ポンプに詰めて売り出そうと画策していました。でも、ヒットすれば、必ずすぐに大手が真似をして、せっかくのアイデアの対価をかすめ取られてしまう。では、真似ができないようにする方法はないか。ひとつだけありました。それは、全米で1社だけしか量産機械をもっていなかったプラスチック成型会社に、容器を大量発注することでした。これによって、同社は、しばらく時間稼ぎをすることができました。もちろん商品はヒットしました。

ほかに、フォード、タタ・スチール、GE、ウォルマート、ノードストローム、ボーイング、サムスン、HP、トヨタ、イーライ・ホイットニー、IBM、マイクロソフト、3M、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ザッポスの15例があります。

 
 
 
 

書名:ありえない決断 フォーチュン誌が選んだ史上最高の経営判断
著者:バーン・ハーニッシュ&フォーチュン編集部
訳者:石山 淳
発売日:2013/9/28
定価:1,785円(税込)

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