日本企業が行う新規プロジェクトは、社内の優秀な人材を各セクションから引き抜き、社運をかけてしまうものだが、それではあまりにもリスクが高すぎる。一方でリスクを抑えるために掛け持ちさせるという選択肢もあるだろう。しかし、掛け持ちは本業と新規プロジェクトのバランスが難しい。ただたんに出来る社員に大きな負担をかけ、本業もダメ、新規プロジェクトもダメという最悪の事態になることもある。では、どうしたら、そうした失敗のリスクを低減できるだろうか。解答はこの本のなかにある。
グーグルでは、就業時間の20%を本業以外のサイドビジネスのために費やして構わないという「20%ルール」を社内に浸透させている。大きな収益と大きな資本をもっているからこそ、できるという面はあるが、この手法はグーグルにとっては非常に有効であった。社員も本業の同じ仕事ばかりでは息が詰まってくる。そのうち新しいことにチャレンジしたくなる。そんな芽が出てきたら、きちんと水を与えて育てようというのがこのルールなのだ。結果、グーグルは、Gメールという果実を得ることができた。
本業だけで汲々としている企業には、このやり方は無理だろうか。いや工夫しだい。「20%ルール」の考え方を発展させたやり方もある。YAHOOでは、ハックデイを設けた。20%ルールという大仰なものを毎日のように実施しては、本業の収益が細るというもの。ならば1日・2日というまとまった時間で、一気呵成に成果を得ようとイベントに仕立てあげた。イベントは、ベックのライブまでやってしまうというお祭り騒ぎになった。成果は推して知るべし。大成功。
ほかにも発展形がこの本のなかでは紹介されている。ケーススタディとして、どれも参考になる。いま日本企業に必要なのは、新規プロジェクトをいかに効率よく低リスクで立ち上げ、軌道に乗せるかだ。社員のアドレナリンを噴出させるためにも、こうした20%ルールの仕組みをぜひ導入してほしい。
クリス・アンダーソン推薦! 『FREE』『MAKERS』の著者、『ワイアード』誌編集長

書名:20%ドクトリン サイドプロジェクトで革新的ビジネスを生み出す法
著者:ライアン・テイト
訳者:田口未和
発売日:2013/6/28
定価:1,785円(税込)