「年の始めの ためしとて......」で始まる童謡、「一月一日」。この歌が生まれた時代の1月1日は、「日本国民全員の誕生日」だった?
2023年12月27日に発売された『歳時記を唄った童謡の謎 こんなに深い意味だった』(笠間書院)で、「一月一日」のほか、春夏秋冬を歌った36の童謡のトリビアが紹介されている。著者は、『案外、知らずに歌ってた 童謡の謎』(祥伝社)などこれまでにも数々の「童謡の謎」シリーズを書いてきた、合田道人さん。
童謡「一月一日」の読み方は、「いちがつついたち」ではなく「いちげついちじつ」。作詞は出雲大社宮司で政治家でもあった千家尊福(せんげ・たかとみ)で、1893年(明治26年)に発表された。
太陰暦(旧暦)が廃止され、太陽暦が採用されたのは、その21年前の1872年(明治5年)のこと。生まれた時は1歳で正月に全員が年を重ねるという「数え年」の風習も、まだ根強く残っていた。誕生日起算が法律で定められるのは1902年(明治35年)。しかしすぐには移行できず、満年齢に一本化されたのは1950年代頃だった。今から70年ほど前まで、正月は「国民の誕生日」だったのだ。
ちなみに「一月一日」の歌詞には「松竹立てて 門ごとに」というフレーズがあるが、これは年神様が空から降りてくる時の目印にするためだそうだ。松も竹も冬でも葉が緑のまま成長することから、松は長寿、竹は子孫繁栄などの縁起物とされている。
このほか、現在では男の子の日とされている5月5日の「子どもの日」は、実はもともと女性の日だった? 「アルプス一万尺」の「こやりの上」って何? など、思わず誰かに話したくなる童謡の背景が、正月から大晦日まで収録されている。
■合田道人さんプロフィール
ごうだ・みちと/1961年、北海道釧路市生まれ。1979年、高校在学中にシンガーソングライターとして渡辺プロダクションからデビュー。翌年、数々の新人賞を受賞。その後、音楽番組の構成演出、司会、CD監修、作詞作曲など多才に活躍する。2002年に刊行した『案外、知らずに歌ってた 童謡の謎』が話題となり、ベストセラー入りして作家としての礎を築く。その後、『童謡の謎』シリーズとして好評を博し、累計70万部を超える。また、全国をコンサートで巡る際にその土地の神社詣で重ねていくうちに神社への造詣を深め、2013年に刊行した『全然、知らずにお参りしてた 神社の謎』がベストセラーとなり、その後こちらも『神社の謎』シリーズとしてヒットを重ねる。
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