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本当にこの人でいいのかな? 「人生のパートナー選び」に役立つ3冊【お悩み解決BOOKコンシェルジュ 8】

BOOK HOTEL 神保町

BOOK HOTEL 神保町

傲慢と善良

 結婚は人生最大のイベントであり、人生最大の悩みの一つ。相手選びで後悔したくないけれど、慎重になりすぎるといいご縁も手放してしまうかも......。そんなジレンマがあるなら、本にアドバイスをもらってみては?

 東京都神田にある「BOOK HOTEL神保町」では、「ブックカウンセリング」「ブックマッチング」といったサービスで、お悩みに本で答えています。今回取り上げるのはこのお悩みです。

【お悩み】
人生のパートナーを選ぶ時にヒントになる本を教えてください。

 物語や体験談を通して"誰かとともに生きる"イメージがふくらむような、ホテルスタッフ選りすぐりの3冊がそろいました。

大事な決断。まずは自分と向き合うためにも

『傲慢と善良』
辻村深月(朝日文庫)

『傲慢と善良』辻村深月 著(朝日文庫)

▼あらすじ
 ある日、婚約者・坂庭真実(さかにわ・まみ)が姿を消した。西澤架(にしざわ・かける)は、彼女の足取りをたどるうちに、真実の本当の姿を知っていく。また、架も自分では気付けなかった己の「傲慢」さと向きあうことになる。多くの現代人が腹の底に抱える"闇"を浮き彫りにする物語。

▼選書理由
 「本当にこの人でいいのかな?」パートナーの選択は、人生において間違いなく大きな決断ですよね。正解がない問いに四苦八苦してしまうのも無理ありません。そんなあなたにオススメするのが『傲慢と善良』です。「恋愛」「婚活」を題材にしているので、あなたが今ちょうど悩んでいる事と重なるかもしれません。
 「人生のパートナー」の定義は人それぞれですが、恋人とは異なる気がします。恋愛でしたら一時的な感情の盛り上がりで相手を選び、仮にダメだったら次に進む選択肢があります。しかし、人生を添い遂げるパートナーとなると、自分のなかで、きちんと納得できる理由が欲しいですよね。そんな時、本作を読むことで、残されたピースを埋められる可能性があります。
 はっきり言って本作は、読んでいてシンドイ気持ちになります。私自身、読んでいる最中「誰にも見せてこなかった心の奥底にあるセンシティブな部分に、踏み込まないでくれよ......」と悶えたくらい(笑)。ただ、読後は自分の中でずっと言葉にできなかった感情に気付けるかもしれません。
 世間体や周りがどう思うかではなく、あなたが本当にその人と一緒にいたいと思うか。本作を読みながら、しっかり自分の心に耳を傾けてあげてください。

(担当:赤塚)

BOOKウォッチの書評はこちら→<婚約者が失踪した。自分は傲慢だったのか――。心を見抜かれる、辻村深月の恋愛ミステリ

他人と一緒に暮らすと、自分が大切にしたいことが見えてくる

『今日もふたり、スキップで 結婚って "なんかいい"』
ものすごい愛(大和書房)

『今日もふたり、スキップで 結婚って

▼あらすじ
 エッセイスト・ものすごい愛さんの結婚生活が描かれた一冊。こんなに幸せな結婚生活があるのか!? と疑ってしまうほど、あたたかく思いやりに溢れた暮らしを覗くことができます。とっても仲良しなおふたり。でも、価値観や趣味がぴったりかというとそうでもなさそうで......? どこまでいっても他人。でも、そんな他人同士がうまくやっていく、コツのようなものを学ぶことができるはずです。

▼選書理由
「選ぶ」ことも大切ですが、パートナーと生活する上で必要になってくるのは、お互いに「思いやる」ことではないでしょうか。趣味や考え方が違うふたりが、お互いの違いをうまく擦り合わせ、許容し合いながら生活している様子を読み、ふと、そんなことを考えました。
 みなさんが日々の生活で大切にしていることは何でしょうか。おいしいご飯をゆっくり味わうことなのか、お休みの日は外に出て思いっきり遊ぶことなのか。選ぶ、という点で考えると、そういった自分の大切にしている暮らしを、一緒に過ごすことができるかという点で考えてみるのもいいかもしれませんね。
 パートナーとの生活のみに限らず、人生における人間関係の築き方の参考になるはずです。他人と暮らすってどんな感じ? と疑問に思われている方も、ぜひ一読してみてください!

(担当:内田)

怒って、振り回されて、涙して。それでも誰かを愛するということ

『クラクラ日記』
坂口三千代(筑摩書房)

『クラクラ日記』坂口三千代 著(筑摩書房)

▼あらすじ
「無頼派」として、戦前後の文壇に新たな風を巻き起こした文士・坂口安吾。破天荒で狂的な彼の生活を、そばで支え、時に巻き込まれながらも、共に人生を歩んだ妻の視点から書かれた回想記。

▼選書理由
 文字通り「死が二人を別つまで」生涯を共にするパートナーに、一体何を求めるべきなのでしょうか。心からの思いやり? 変わらない愛情? 価値観が合うこと? そんな理想像が全て馬鹿馬鹿しくなってしまうほど、この本に書かれた結婚生活は波乱に満ちていて、怒りと悲しみ、そして困惑で溢れかえっています。それでも互いに寄り添い、労り愛するふたりの生活。それらを描いた筆致には、当事者としての、生々しいリアリティが宿っています。
 結婚って、きっと幸せなことだけじゃない。だけど、「あなた」を選んだことを後悔しない。「誰かと共に生きること」を、深く考えさせられる一冊です。

(担当:夢水)



   
  • 書名 傲慢と善良
  • 監修・編集・著者名辻村 深月 著
  • 出版社名朝日新聞出版
  • 出版年月日2022年9月30日
  • 定価891円(税込)
  • 判型・ページ数A6判・504ページ
  • ISBN9784022650597

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