ケアレスミスが多い、コミュニケーションがうまく取れないといった、仕事をする上での壁にぶつかりやすい「大人の発達障害」が注目されている。エリートというイメージが強い上位大学出身者の中にも、このような発達障害を抱えている人が少なくないという。
「高学歴発達障害」の人々の実情を、自身も発達障害をもつライターの姫野桂さんが調査した『ルポ 高学歴発達障害』(筑摩書房)が、2023年10月6日に発売された。
本書では以下のような、10人の当事者たちの体験談が紹介されている。
●早稲田大学政治経済学部卒業 26歳男性
「『あなたは早稲田大学を出ているんだから発達障害とは違う』と言われ......」
●東京大学法学部卒業、公共政策大学院修了 28歳女性
「人としての"合格ライン"が上がってしまう感じ」
●慶応義塾大学文学部卒業 33歳女性
「脚本家になり、エリート同期たちからはニート扱い」
発達障害でありながら上位大学に入れた人の中には、「せめて勉強を頑張ろうと努力した」人、「一度集中すると止まらなくなって勉強を極めた」人などもいる。彼らはエリートのイメージがあるばかりに周囲の理解が得られにくく、自分と同級生を比べて落ち込み、アイデンティティの葛藤を抱えがちだという。
本書は当事者たちの声に加えて、発達障害をもつ現役の京都大学教授・横道誠さん、「シロクマ先生」として知られる精神科医・熊代亨さんへのインタビュー、さらに大学や企業でおこなわれている支援を紹介している。
【目次】
第1章 発達障害とはどのようなものか
第2章 高学歴発達障害が抱える不条理
第3章 発達障害当事者の大学准教授が見た大学
――京都府立大学文学部准教授 横道誠さん
第4章 アイデンティティと現代社会と発達障害
――精神科医 熊代亨さん
第5章 当事者に対する支援の取り組み
■姫野桂さんプロフィール
ひめの・けい/フリーライター。1987年生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学日本文学科卒業。専門は社会問題や生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている――発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)などがある。
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