おつまみは、料理ではなく「娯楽」......そんな信念のもと、おつまみの固定概念をくつがえす料理本が新たに発売される。
『23時のおつまみ研究所』(ポプラ社)は、お酒を愛する料理研究家、小田真規子さんが徹底開発した、再現性の高いおつまみのレシピや調理知識がぎっしり詰まった1冊。香り・食感・塩気・うま味・温度・刺激......これら「6つの軸」を知ることで、すべてのおつまみがガラリと変わる。「これ、ほんとに私が作ったの!?」と驚くほどのクオリティに仕上がるという。
料理本には珍しく、マンガのストーリーを追いながら、おつまみの極意を習得できる構成になっている。
本書で重要視されている、おつまみの「6つの軸」。香り・食感・塩気・うま味・温度・刺激のうち、どれか1つでも強めることで、どんな食材でも即「つまみ化」するのだという。たとえば、「香り」。実は、鼻の外側から嗅ぐ香り「オルソネーザル」と、口の中から鼻に抜ける香り「レトロネーザル」の2種類があるのだ。そして、この2つの香りを感じられるのは人間だけなのだとか。
焼き鳥屋でもうもうと立ち込める煙の中、タレと脂の焦げる香ばしい香りを感じながら食べるのと、コンビニの焼き鳥を自宅でチンして食べるのとではおいしさが違うのは多くの人の知るところだろう。料理のおいしさは、香りが大部分を占めているというわけだ。
本書には、代表的なお酒と、それぞれに相性の良い香りのおつまみも紹介されている。
ビール......にんにく、ブラックペッパー、カレー、チリパウダー(メキシカン)
ワイン......生ハム、カビ系のチーズ、ハーブ類、オリーブオイル
日本酒......海産物、発酵食品、干物、だし
焼酎......しょうゆ、みそ、照り焼き、肉じゃがなどの家庭料理
さらに、たとえ同じメニューでもその日の気温や自分の体温、合わせるお酒によっても味わいは変わる。アルコールは温度が上がると揮発し、香りの立ち方も変わるのだそう。
「香りで飲む」のにぴったりなおつまみの1つが、「スモークサーモンはセロリと」。以下、本書からおいしさの理由とレシピを紹介しよう。
~以下、本文より~
発表します。「すいかに塩」を超えた「普遍的ベストパートナー賞」は......スモークサーモンに、セロリ! では、皆様、授賞理由をお願いします。
審査委員長の二角(ふたつの)マリアージュ氏「北欧ではサーモンに『ディル』というハーブを合わせるのが定番。でもじつは、セロリにもディルと同じ香り成分が含まれているの。これを知っていた開発者に震撼しているわ」
続いて酒殿愛翔(さけとのあいしょう)氏「スモークサーモンってけっこう値が張るよね。でもこれなら少しでも満足できる。ちびちびと食べたい派もうれしい」
続いて味良抜群(あじよしばつぐん)氏「これは掴みから完璧ですね。サーモンの100gの使い方がいい。強い塩気を、セロリのみずみずしさが中和して、後半、食感のたたみかけもよかったです」
今一度、盛大な拍手をお願いいたします。
<材料>
スモークサーモン (キングサーモンなど)...100g
セロリ...1/2本(50g)
セロリの葉...2〜3枚
レモン...1/4個
オリーブオイル...小さじ2
こしょう...少々
<作り方>
1. セロリは筋を取り、斜め薄切りにする。葉は軽く巻いて、せん切りにする。
2. スモークサーモンをセロリに巻いて器に並べる。小さければ巻かずに和えても。
3. レモンは皮をむいて、いちょう切りにし、 オリーブオイル、こしょう、セロリの葉とともに散らす。
とくに合うお酒......ウイスキー、白ワイン
ビールなら......ブラックペッパーをたくさんふって、辛味を足す
~以上、本文より~
人間だけが感じられるという2つの香り、レトロネーザルとオルソネーザル。定番おつまみも「香り」を意識して作ってみれば、ぐんと違う味わいを楽しめるだろう。
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