ジメジメした梅雨にいっそうおいしく感じるお酒の筆頭、ビール。それに合ういつものおつまみを、徹底研究された「実験レシピ」でいっそうおいしく作れる新しい料理本が登場した。
お酒を愛する料理研究家、小田真規子さんによる、再現性の高いおつまみのレシピや調理知識が盛りだくさんの『23時のおつまみ研究所』(ポプラ社)。いつものおつまみがガラリと変わり、驚くほどのクオリティに仕上がる秘訣「6つの軸」を、マンガのストーリーを追いながら学べる構成だ。
さらに、実際にさまざまなポイントを比べて徹底研究した「実験レシピ」も多数収録。「一口目で味が決まる枝豆のゆで方は?」「冷めてもガリガリ食感のから揚げを作るには?」など、読み物としても面白くつい試してみたくなるレシピばかりだ。
おつまみの味を決める6つの軸、それは香り・食感・塩気・うま味・温度・刺激。中でも「塩気」は馴染み深く、イメージしやすいのではないだろうか。
お酒を飲むと塩気のあるものが欲しくなるのは、アルコールには利尿作用があるため、水分とナトリウムを排出することで、ナトリウムが足りないと感じるから。人間の体液と同じ塩分濃度とされる、0.9パーセントくらいの塩分のものをおいしく感じるのだという。
ただし、おつまみの場合はこれより塩分の多いものが、よりお酒に合う。ベストな塩分濃度は2.2パーセントだ。さらに、適量の塩は「うま味」にもつながるとのこと。
本書では、塩気を楽しむ代表的なおつまみの1つ、「枝豆」のゆで方も徹底的に実験している。ここからは、本書に登場する謎のきつねに、ベストなゆで方を教わろう。
~以下、本文より~
枝豆は、じつはけっこう難しい。口に入れてすぐに「これこれ!」と塩気が決まった枝豆にするにはどうすればいいか? 4つのポイントに絞って実験を繰り返した。
<材料>(食べられるまで20分)
枝豆(さやつき)...200~250グラム
塩...大さじ2
1.さやの両端を切る
(切らない場合......豆にはあまり味がしみておらず、物足りない印象。口の中が皮でいっぱいで、すぐに豆に到達しない)
2.塩もみをする
枝豆は、よく洗ってボウルに入れる。塩(大さじ2)が半分溶けるくらいまでもみ、うぶ毛を取る。
(しない場合......最初に口にあたるさやの部分の味が薄い。うぶ毛のワサッとした口あたりも気になる)
3.水の量は少なめ
鍋(20センチ)に2センチ深さまで水を注ぎ、強火にかける。煮立ったら、枝豆を塩ごと入れる。
(たっぷりの場合......湯をわかすまで時間がかかり、塩気も弱い)
4.火加減は弱火
ふたをして中火で1~2分ゆで、弱火にしてさらに3~4分ゆでる。ざるにあげて水気をきる。
(強火の場合......強火でゆでると、なんとなく甘みと香りが弱い感じがした)
↓
パーフェクト!
結果:塩分濃度5パーセントの湯でゆでる
と、上には書いたが、じつはただ5パーセントでゆでればいいわけじゃない。上の4つのポイントすべてが重要だ。たとえば1でさやを切ることで、すき間から塩水が入ってくる。そして2で塩もみすることで、うぶ毛が適度に取れ、口の中に入ったときの印象が変わる。3は水が多くなればなるほど塩分濃度が薄くなる。たっぷりの湯をわかす必要はないのだ。4に関しては、正直塩気はあまり変わらないが、枝豆自体の甘みを強く感じる。
Q.枝豆って何の豆?
→ 大豆やがな!
大豆や。大豆の完熟前の実や。つまりほっといたら、大豆になるんや。ちなみに「枝豆」っていう植物はあらへんで。あと分類上、大豆は豆類になるけど、枝豆は野菜になるんやて。歴史もあって、江戸時代、路上で枝がついたまんまゆでたやつが売られてたみたいで、つまりファーストフードっちゅうんかな。そんな感じやったみたいやで。
Q.旬はいつ?
→ 夏やがな!
基本的には、5月から出回り始めて、10月ごろまでは店頭にあるかな。でもやっぱり、7~8月がおいしいわ。「露地(ろじ)もの」いうて、ハウス栽培やないやつがぎょうさん並んでるからな。真夏のピークが去ったらちょっと味が変わるかな。でも最後の花火が終わっても、まだしばらくはいけるで。
Q.栄養はあるの?
→ あるがな! めちゃくちゃあるがな!
もう、おつまみにぴったりの栄養が入ってるがな。アルコールの代謝を助けるアミノ酸、「メチオニン」とかな。あとは「レシチン」っちゅう、肝臓にある脂肪を分解するらしい栄養素が、疲れた肝臓の手助けまでしてくれる。とにかく、ええ栄養素がぎょうさん含まれとるから、食べまくったほうがええで!
Q.枝つきのを買ったほうがおいしい?
→ そうやがな!
「枝豆」ゆうくらいやで? 枝から外した瞬間から鮮度が落ちていくから、ついたままにしてるんや。収穫したあとも、枝の部分には水分や栄養が残ってる。それを枝豆本体が吸収するから、鮮度が保たれるんやで。
<材料>
枝豆...250グラム
にんにく(みじん切り)...1かけ
赤唐辛子(小口切り)...1本分
A
塩...小さじ1/2
水...大さじ6
オリーブオイル...大さじ1・1/2
<作り方>(食べられるまで10分)
1.枝豆のさやは両端を切る。
2.ボウルに入れ、塩(小さじ1)をふって30秒ほど軽くもみ、さっと水洗いしてペーパーで水気をふく。
3.フライパン(26センチ)に サラダ油(大さじ1)を中火で熱し、枝豆を並べて3分ほど焼き、2分炒める。
4.Aを合わせて注ぎ、強火で煮立てる。水分が大さじ2くらいに減ったら、にんにく、赤唐辛子を加え、全体に絡めて水分を飛ばす。
冷凍枝豆や、賞味期限ぎりぎりの枝豆。ゆでるのには飽きたけど、やっぱり今日も枝豆を食べたい。そんな枝豆愛深めの方におすすめなのが、このペペロン。枝豆のほのかな甘みに、オリーブオイルの香りと「にんにくというよりガーリック感」が合わさって、冷やした白ワインがすすむ。いわば枝豆のがっつりメイクバージョン。
~以上、本文より~
おつまみの味を決める要、「塩味」。改めて意識したことがなかった人も、おつまみに合う塩分濃度や塩味が決まる枝豆のゆで方をとり入れてみれば、いつもの晩酌もぐっと豊かな体験になりそうだ。
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