近年、世代を問わずアナログレコードの人気が再燃している。特に高騰しているのは、シティポップや「和モノ」の名盤。なかでも「オリジナル盤」は需要が絶えないという。
しかし、レコードの「オリジナル盤」とは具体的に何を指すのだろうか。2023年4月24日に発売された『アナログレコードにまつわるエトセトラ』(辰巳出版)では、レコードショップ「ディスクユニオン」の店長兼バイヤーである山中明さんが、「オリジナル」盤の定義について解説している。
「オリジナル盤」 と呼ばれるものには基本原則がある。国や会社、そして作品そのものによっても複雑な事情が絡んでいるケースもあるが、 通常は、「リリースされてから見た目が変わるまでのもの」がそう呼ばれるという。
見た目が変わる原因はさまざまだ。ラベル面に記載された住所が変わったり、ジャケットの取り出し口の位置が変わったり、クレームを受けてガラリとアートワークが変わったり......。いずれにせよ、何かしらの見た目が変わった時点でオリジナルとは呼ばれなくなる。
ここまでなら話は簡単なのだが、レコードマニアの世界にはさらなる深みがある。たとえば、オリジナル盤の中には「バリエーション」と呼ばれるものがある。60~70年代のレコードは、複数のプレス工場で同時期に大量生産されていたこともあり、リリース当時に作られたいわゆる「オリジナル盤」 と判定されたものであっても、さまざまなバリエーションが生まれてしまったのだ。
曲名が間違っていたり、余っていたラベルを使い回したり、勝手にジャケットにラミネート加工を施していたり......。さらには、製造された国によって曲の内容が違うことすらあったという。「オリジナル盤」と一口に言っても、ディテールに凝り始めると大量の「バリエーション」が存在するのだ。
ほかにも、1セット約2億4400万円で購入された幻のCDや、マニアの間で研究が進むレコードの規格番号「マトリクス」についてなど、アナログレコードの世界を超ディープに解説している。
本書は、WEBサイト『mysoundマガジン』の人気連載に、加筆修正および書き下ろし原稿を加えて、書籍化したもの。レコード市場において高値で取引されるオリジナル盤やレア盤を多数紹介しながら、「各国盤の違い」「相場変動の歴史」「盤質の見方と補修方法」「生産番号の見分け方」などをマニアックな視点で書いた指南書的一冊だ。
【コンテンツ】
オリジナル盤の魔力と美品の見分け方
各国盤のススメ~所変われば、音変わる
ロック界最大のレア盤を探せ!
聴けば分かる溝に深く刻まれた特濃サウンド
ヴィニール・イズ・ゴールド~レコードは資産です
初見殺しの難解専門用語解説
個性全開のジャケット・アート
封印されし没ジャケットの醍醐味
シュリンクの奥に潜む危うさとは?
サブスク愛用者に送る独自ジャケのあれこれ
小よく大を制す7 インチシングル
天国への階段にして地獄への扉~「マトリクス」
やめられないとまらない初回探しの無間地獄
「入るなキケン」~さらに地獄なマザー/スタンパー
The Beatles「レコード・コレクター入門」
「縦」、「横」、「円周」~ 盤の傷を見抜け!
時を戻そう!ジャケット補修術
部屋とレコードと私
ロンドン郊外のディーラーを訪問
"夢の国"レコード・フェアへ行こう
ジャケをたずねて三千里~元ネタを探せ!
誰も教えてくれないレコ屋スラング
命を賭して音楽の自由を求めた肋骨レコード
信じるか信じないかは......レコード都市伝説
ヴィンテージ・ポスターを愛でよう
音楽誌から見る百花繚乱のロック・エラ
目で聴く音楽~メモラビリア[The Beatles編]
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