2023年4月20日、Himacoさんのコミックエッセイ『今日もテレビは私の噂話ばかりだし、空には不気味な赤い星が浮かんでる~統合失調症の私から世界はこう見えた~』(KADOKAWA)が発売された。
100人に1人が罹患すると言われる「統合失調症」。決して珍しくはない病気だが、幻覚や極端な妄想など、症状が通常の精神状態からはかけ離れているため、その理解は必ずしも進んでいるとは言えない。
発症した時、本人の脳内はどんな状態になっているのか? 本書は、「まさか自分が統合失調症になるとは思っていなかった」という元患者のHimacoさんが、自らの闘病から社会復帰の過程までを、繊細かつ優しいタッチで描いたコミックエッセイだ。
Himacoさんは22歳のころとても不思議な感覚を得た。頭が回りすぎるくらい回転して鋭敏になり、"思考が飛躍"。脳が勝手に、小さな情報を拾ってはストーリーを作ってしまうようになったという。
たとえば、電車で隣に座った人の貧乏ゆすりを「何かの暗号か?」と脳が解釈してしまう。テレビでは「いつも自分のことが話題になっている!」と錯覚してしまう。
症状がやや落ち着いてからも、社会復帰を焦る中で、再び精神的な不調に陥ってしまう。それでも徐々に病を受け入れ、やがて自分のペースで生きていくことを決意する。
なんでもない日常から幻覚や妄想にいたるまでの道筋を、統合失調症のことをあまり知らない人にも想像してもらいやすいように、表現を工夫して描いたという本作。Himacoさんは「当事者の方やそのご家族の方、そしてこの病を身近に感じたことのない人にぜひ読んでいただきたいです」とメッセージを寄せている。
【内容】
発症編/発症
発症した後で編/発症後、社会復帰挑戦、就労移行
入院編/入院①、入院②
受け入れる編/病の受容
伝えたいこと編/伝えたいこと①現実を生きるために ほか
■Himacoさんプロフィール
和歌山県在住。短期大学を卒業後、栄養士として働くなかで統合失調症を発症した。絵を描くことが趣味で、発症時の体験をコミックエッセイにまとめSNSで発信し反響を呼ぶ。著書に絵本「統合失調症を患ったお話」(いしだえほん)がある。
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