甲状腺の病気として有名なバセドウ病と橋本病。名前を聞いたことはあるけれど、どのような病気なのか知らない方も多いのではないだろうか。
なんと甲状腺にトラブルを抱える日本人は、予備群を入れると約1000万人にのぼるという。身近な病気だからこそ、検査法や治療法、日々の生活で気を付けることまで理解を深めておきたい。
『私たちも甲状腺』(K&M企画室)は、甲状腺の病気についてわかりやすく解説する一冊。バセドウ病のバセ子と橋本病のハッシーが、甲状腺博士とともにガイド役を務める。専門的知識も散りばめられているが、キャラの会話で理解しやすく、楽しく読み進めることができる。
バセ子の悩みは痩せすぎなこと。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促しエネルギーをつくっているが、その結果、ホルモン量が多いと痩せ、少ないと太ることに。バセドウ病の場合は食欲旺盛になるが、摂取する以上にカロリーを消費するので体重が減ってしまうのだという。
通常の痩せ方と違うのは、脛骨(むこうずねにある長骨)の前に局所的なむくみが現れること。水分によるむくみと異なり、指で押しても跡が残らないのが特徴だ。
一方、橋本病では甲状腺の機能が低下し、運動量が減って肥満傾向になるほか、心不全を起こして水分が蓄積するむくみを併発したり、水分ではなくムコ多糖類(ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などの総称)によって体や顔がむくみがちになったりするという。
橋本病になると、顔面のとくに鼻のまわりがむくみ、低い鼻、厚い唇、大きい舌といった特徴が現れる。
本書ではさらに、検査法や治療法はもちろん、日々の暮らしの中で気をつけることまで、甲状腺専門医の山内泰介さんが、詳細に解説してくれる。
本書の目次は以下の通り。
●私たちは、病気になった甲状腺 Chapter 1 自分の甲状腺のこと、きちんと知りたい! Chapter 2 甲状腺ホルモンって、こんなに大切だったんだ! Chapter 3 バセドウ病と橋本病、その症状の共通点・相違点 Chapter 4 バセドウ病と橋本病の検査・診断 Chapter 5 バセドウ病と橋本病の治療 Chapter 6 妊娠と甲状腺ホルモンの密接な関係 Chapter 7 症状改善や予防のために日々、気をつけたいこと ●用語&英字略語の解説 ●Dr.甲之介より
バセドウ病や橋本病が意外と身近な病気であることを知らなかった方も多いだろう。甲状腺のトラブルを抱える人はもちろん、医療を志す方にも有用な一冊。
■山内泰介さんプロフィール やまうち・たいすけ/医療法人山内クリニック理事長。日本甲状腺学会認定専門医、日本外科学会外科専門医、内分泌外科専門医。愛媛大学医学部卒業。同大学院終了後、野口病院(大分県別府市)、東京女子医科大学内分泌外科、伊藤病院(東京都渋谷区)で内科・外科を問わず甲状腺の総合診療にあたる。1994年に山内クリニックを埼玉県川口市に開設、2012年には甲状腺診療の医療水準を上げるため、甲状腺専門クリニックとして埼玉県さいたま市(大宮)に移転し、埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県川越市)内分泌・糖尿病内科客員准教授を兼任。「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)「ザ! 世界仰天ニュース」(日本テレビ系列)などメディア出演多数。著書に『症例解説でよくわかる甲状腺の病気』『ボクは甲状腺』『若葉香る── 寛解のとき』『オンナたちの甲状腺』(以上、現代書林)、自身が企画した監修書に『これって、「甲状腺の病気」のせいだったの?』(K&M企画室)がある。
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