職場や学校など身近な場所から、スポーツ界や映画界など華やかな世界まで、性被害はさまざまなところで起きている。美術業界も例外ではない。画廊では、まるで無料のキャバクラかのように女性作家が被害に遭っているという。
2023年1月10日『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』(中央公論新社)が発売された。著者は、ニュースメディア「弁護士ドットコムニュース」の編集部記者、猪谷千香さんだ。
本書で取り上げられるのは、美大卒業後にギャラリーに1人立つ若い女性作家につきまとう「ギャラリーストーカー」だ。つきまとい行為をするのは、コレクターだけではなく、作家の将来を左右するキュレーター、批評家、美術家など業界内部の権力者も関わることがあるという。さらには、つきまといがハラスメントや性被害につながることも。
猪谷さんによると、美術業界ならではのハラスメントが起きやすい構造と体質、伝統があるという。本書では、弁護士ドットコムニュース編集部が総力を挙げて取材した実態と対策が紹介されている。
美術業界のイメージがパッとわく人は多くない。だからこそハラスメントが隠されてしまうのかもしれない。読むのが怖い気もするが、どのような実態なのか気になってしまう。
■猪谷千香さんプロフィール
いがや・ちか/東京生まれ、東京育ち。明治大学大学院博士前期課程考古学専修修了。産経新聞文化部記者などを経た後、ドワンゴでニコニコ動画のニュースを担当。2013年からハフポスト日本版でレポーターとして、さまざまな社会問題を取材。2017年から弁護士ドットコムニュース編集部で記事を執筆。著書に『日々、きものに割烹着』『つながる図書館』『町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト』など。
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