大学准教授がマッチングアプリを始めてみたら、そこは経営学・経済学・マーケティングが学べる、ビジネス教養の宝庫だった!?
「婚活とマッチングアプリ」から学ぶ、異色のビジネス書が発売されている。『大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。』(クロスメディア・パブリッシング)だ。著者は東京都立大学大学院准教授の高橋勅徳(みさのり)さん、専門は経営学。准教授の目から見る、マッチングアプリの攻略法とは?
「35歳。趣味なし、暇なし、彼女なし」。生活のほとんどの時間を研究と学務に費やし、恋人は作ろうとさえ思わなかったという高橋さん。自分の人生にも「結婚」というイベントがありうることに初めて気づいたのは、友人の結婚式に出席し、「次は、お前の番だな」と言われたときだった。
そんな恋愛初心者の高橋さんだが、初めて自覚した「結婚」を目指してマッチングアプリをスタートしてみると......?
まず、マーケティング論的にマッチングアプリを攻略するにあたって「女性はどのような人に、コストをかけても会ってみたいという価値を感じるのか」を考えていく。婚活女性が求める「理想の男性像」を調べると、民間の調査でこんな結果が話題になっていた。
「身長165cm以上で体重は60~80kg。都内在住で年収500万円以上稼ぐことができる仕事、地方であれば銀行など大手企業や公務員を職業としている、星野源」
高橋さんは、身長・職業・年収は「理想像」を満たしている。課題は85kgの体重と、学生に「ゴリラ」と言われている容姿だ。果たして高橋さんは星野源に近づけるのか?
さらにマッチングアプリと婚活を考察していくと、婚活とは「市場取引」だということがわかってくる。男女それぞれの価値がマッチングアプリで可視化され、価値を交換=結婚する場だというのだ。社会学者の山田昌弘さんは、婚活市場における価値は女性の若さ・美貌と男性の財力だと指摘しているそう。さらに、ある結婚相談所のカウンセラーは、男女間の年齢差は「100万円/1歳差」で換算すると話していたそうだ。実際の婚活市場では、男女がどんな価値をどのようにアピールし、交換しているのだろうか。
このほか本書では、「婚活で好まれる趣味の分析」「婚活のブルーオーシャン戦略」「『いいね』を送るアプローチ戦略4種」「女性に選ばれる自分のコア・コンピタンス」など、マッチングアプリのあらゆる面を、経営学的に考察している。これ一冊を読めば、経営も婚活も無双できるかも。
【目次】
プロローグ 結婚≒幸せ?
第1章 俺のスペック需要ある? マーケティング編
第2章 予想通りに不合理な婚活 行動経済学編
第3章 挑むべきは女性ではなく男性 経営戦略編
第4章 婚活という沼 社会学編
エピローグ マッチングアプリ、学びが深すぎるだろ!
■高橋勅徳さんプロフィール
たかはし・みさのり/東京都立大学大学院経営学研究科 准教授
神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了、博士(経営学)。沖縄大学法経学部専任講師(2002‐2003年度)。滋賀大学経済学部准教授(2004‐2008年度)。首都大学東京大学院社会科学研究科准教授(2009年‐2017年度)を経て現職。専攻は企業家研究、ソーシャル・イノベーション論。第4回日本ベンチャー学会清成忠男賞本賞受賞。第17回日本NPO学会賞優秀賞受賞。著書に『婚活戦略』(中央経済社)など。
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