2022年1月に放送された「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ)の「結婚したい彼女の場合~コロナ禍の婚活漂流記~」を観た人はいるだろうか。
コロナ禍で孤独を深めた女性たちが、婚活を成功させるために奮闘する様子を描いたドキュメンタリー番組だ。放送後は「神回」と話題になり、ツイッターでは「ノンフィクション」「ミナミさん」(番組に登場する女性の仮名)などの言葉がトレンド入りした。
この番組の題材にもなった結婚相談所「マリーミー」の代表・植草美幸さんによる新刊『結婚の技術』(中央公論新社)が、2022年10月7日に発売された。
今回は、本書と、同じく植草さんによる著書『ドキュメント「婚活」サバイバル』(青春出版社)から、婚活の最新事情を押さえながら「婚活の極意」について考えていく。
本書の第2章「求めてばかりでは理想はつかめない 高望みをやめて幸せな結婚をつかむ『相手選び』の技術」では、自分が結婚相手に求める希望条件を1つずつ棚卸しして、マッチングのズレを修正していくやり方を推奨している。
その中でもよくある希望条件が、相手の年収だ。著者の植草さんは、相手の年収額に希望がある場合、夫婦共働きを前提に、自分の年収と合わせて世帯年収で考えるようアドバイスする。
「自身が年収450万円程度だとしたら、共働き家計になるわけですから、世帯年収1000万円以上と考えて、相手を年収600万円以上にしてみることをおすすめします。男性の年収が500万~600万円というのは、結婚相談所の会員の中でもボリュームゾーンに入りますから、グッと選択の幅が広がります」
もう1冊の著書『ドキュメント「婚活」サバイバル』でも、希望年収などの条件に固執しすぎて、婚活に苦労する女性のケースが紹介されている。
同書は、日本の婚活の最前線で活躍する植草さんが、婚活男女の本音と現実に迫ったドキュメンタリーだ。第2章「婚活のプロも驚いた! 多様化する結婚観、深まる世代間ギャップ」には、バブル時代を謳歌した60代の母親に強く影響を受け、結婚相手に求める経済的な条件が厳しすぎる40代半ばの女性・恭子さん(仮名)が登場する。
恭子さんは、父親と同程度の年収がある相手にするべきなどの、母親の言葉に影響を受けてしまっている。さらに、結婚後は実家で飼っている大型犬を連れて行きたいため、広いリビングのある都心のマンションに住みたい。
恭子さん自身の年収が800万円ということをふまえて、植草さんが「夫の収入を合わせて1600万円あればなんとかなるかもしれませんよ」とアドバイスしても、「それじゃあ何のために結婚するのかわからない」いう返事......諸々の厳しい条件を譲ることができず、婚活に苦戦中とのことだった。
一方で、欲がなく質素な生活をしている30代前半の男性が、結婚後も働き続けたい看護師とマッチングした事例も登場する。
大手食品メーカーに勤めている男性・亮太さん(仮名)は、年収が450万円程度で、残業がないためよく自炊しており、料理が得意。節約家な上、外貨年金をやっているため年収の割に貯金も多いという状況だった。
そんな彼には自立している女性が合うと考えた植草さんは、本人より収入が高く、リードしてくれるような性格の、大学病院で勤務する看護師を紹介。無事にマッチングしたそうだ。
2冊とも、結婚相談所で数多くの男女を成婚に導いている植草さんが、実際に現場で得た知見にもとづき書かれているため、非常に説得力があり「婚活の極意」を掴むことができる。現在、婚活を考えている人はもちろん、最新の婚活事情はどんなものか知りたい人も満足できるだろう。
■植草美幸さんプロフィール
うえくさ・みゆき/婚活アドバイザー、結婚相談所マリーミー代表、株式会社エムエスピー代表取締役。1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを設立。そこで培ったマッチング能力・人材発掘能力を生かし、2009年に結婚相談所マリーミーを設立。著書に『なぜか9割の女性が間違っている婚活のオキテ』『男の婚活は会話が8割』(小社)、『婚活学講座 尊敬婚のすすめ』(評言社)など多数。
(文・犬飼あゆむ/ライター)
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