作家のこかじさらさんが故郷にUターン移住すると、待っていたのは高齢者4人の介護だった――。
「私のほうが先に死んでまうやろ!」と言いたくなるほどの過酷な介護生活。想像を絶するが、他人事ではない。少子高齢社会の今、私たちも近い将来、経験するかもしれないのだ。
『寿命が尽きるか、金が尽きるか、それが問題だ』(WAVE出版)は、こかじさんの奮闘の日々を綴ったエッセイ。
本書ではこかじさんが、常識も理屈も通用しない高齢者4人の世話に追われる日々が描かれている。92歳の老父と90歳の老母、89歳の叔父叔母夫婦は、わがまま、逆ギレ、能天気、人任せ...と四者四様で、きれいごとは通用しない。
4人のキャラクターはざっとこんな感じだ。
エントリーナンバー1は、要介護1の実父・繁夫(仮名)。神経質で気が短く、一度気になりだすと、それが解消されるまでありとあらゆる手を尽くしても決して聞き入れることはない。...
エントリーナンバー2は、同じく要介護1の実母・光代(仮名)。見栄っ張りの浪費家にして外出好き。(中略)何か言おうものなら、まるでこちらに非があるかのように目をつり上げ、憎まれ口全開で食って掛かってくる。
エントリーナンバー3は、要支援1から要介護1に区分変更となった叔父・貞吉(仮名)。穏やかでのんきな性格だが、アルツハイマー型の認知症が進み、失効した運転免許証で半年以上運転を続けていたことが発覚。...
エントリーナンバー4は、そんな叔父と二人で暮らしている要支援2の叔母・久子(仮名)。おしゃべりで外出好きだが、社会生活を営む上で必要な手続き等に驚くほど疎く、すべて人任せ。...
合わせて360歳、平均年齢90歳の彼らに将来の自分を重ねると、「私たちは、どう老いるか」という問いが頭に浮かぶ。介護を経験した人であれば「首がもげるほど」共感するに違いない。
1人でもたいへんなのに、4人の世話となると、寿命も財布もいつまで持つのかと心配になる。読むのが怖い気もするけれど、気になるエッセイだ。
■こかじさらさんプロフィール
こかじ・さら/1958年千葉県生まれ。中央大学専門職大学院国際会計研究科修士課程修了。出版社勤務を経て2016年『アレー! 行け、ニッポンの女たち』講談社刊(『負けるな、届け!』として文庫化)でデビュー。著書に『それでも、僕は前に進むことにした』『彼女が私を惑わせる』共に双葉文庫など。2019年9月、現代ビジネスに両親の介護生活を描いた記事を掲載し、大きな反響を呼んだ。
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