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モルヒネの名前の由来は、あの映画の登場人物と同じ? 知ると面白い「薬の名前の意味」

薬の名前には意味がある

 薬の名前にどんなイメージを持っているだろうか。カタカナばかりで覚えづらい、なぜ「~ミン」「~ーゼ」など似たような語尾ばかりなのだろう......などと考えたことがある人もいるかもしれない。

 もちろん、どれも適当に名づけられているのではない。それぞれ、意味や由来がある。多くの人が知らない薬の名前の由来をまとめて紹介している本が、『薬の名前には意味がある』(薬事日報社)だ。薬学博士で、日本の医薬品1321点を網羅した『薬名[語源]事典』(武蔵野大学出版会)を編集した阿部和穂さんが教えてくれる。

薬剤師でも丸暗記......「間違えて覚えていました」

 本書は、医薬品専門紙「薬事日報」に不定期で連載中のコラムから、2020年4月30日から2022年1月19日までに掲載されたもののうち、78回分を再編集したものだ。

 阿部さんが薬の名前の由来を調べるようになったのは、大学で薬理学を教える際「学生たちに少しでも楽しく薬の名前を覚えてもらいたい」という思いから。実は、薬学部の勉強でも薬の名前は多くの場合丸暗記で、阿部さんが学生のときの先生たちも誰も詳しい由来を知らなかったそうなのだ。

 コラムで「間違えやすい薬名」をテーマにし、「その原因は意味を考えないで丸暗記していることになる」と指摘したところ、現役薬剤師の読者から「私も間違えていました。名前の由来を知っておくことって大事ですね」というコメントが寄せられたそう。薬の名前の由来を知ることは、ただ面白いだけでなく、間違って飲むなどの危険を防いでくれるのだ。

モルヒネの由来は、神の名前

 本書で紹介されている由来を一つご紹介しよう。

 強力な鎮痛薬として使われている「モルヒネ」は、名前を知っている人も多いだろう。ケシの実から採取されるアヘンから作られる薬だ。アヘンの歴史はとても古く、紀元前4000年頃に古代スメリア人が眠り薬として使っていたという記録が残っている。

 アヘンが麻酔や痛み止め目的の医薬品として使われるようになったのは、11世紀頃。19世紀の初めに、ドイツの薬剤師フリードリヒ・ゼルチュルナーがアヘンから有効成分を単離した。フリードリヒはこの薬を、ギリシャ神話に登場する夢の神モルフェウスにちなんで「モルフィウム」と名づけた。その後、オランダ語でmorfine、英語でmorphineと変遷し、「モルヒネ」と呼ばれるようになった。

 映画『マトリックス』に登場する、主人公のネオを夢の世界から現実へと導く役割を果たす人物の名前は、モーフィアス。モルヒネと同じ、夢の神モルフェウスが名前の由来だと言われている。

 このように神の名前をつけられた薬もあれば、植物の名前、動物の名前、地名、人名、社名など、薬の名前の由来は実に多種多様。いくつかの言葉が組み合わさっているものもあれば、時代の変遷で名前が変わっていったものもある。奥深い薬の名前の世界を知ると、普段飲んでいる薬も少し違って見えてくるかもしれない。

【目次】
はじめに
第1章 意外な起源の薬
第2章 名前の中に隠された薬の特徴
第3章 英語表記にある意味
第4章 ステムの利便性と落とし穴
第5章 紛らわしい名前を区別するには
第6章 開発ストーリーの中で生まれた薬の名前
第7章 薬物療法の発展とともに見る薬の名前
第8章 名前から紐解く薬の歴史
終わりに

■阿部和穂さんプロフィール
あべ・かずほ/1963年愛媛県今治市生まれ。東京大学薬学部卒業後、東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国カリフォルニア州ソーク研究所博士研究員、星薬科大学講師を経て、武蔵野大学薬学部教授。薬学博士。専門は脳と薬。



  
  • 書名 薬の名前には意味がある
  • 監修・編集・著者名阿部 和穂 著
  • 出版社名薬事日報社
  • 出版年月日2022年12月 2日
  • 定価2,970円(税込)
  • 判型・ページ数A5判・232ページ
  • ISBN9784840816021

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