現在、アラフィフの人の中には、中谷彰宏さんの『面接の達人』にお世話になった人が少なからずいるだろう。同期の人数が多くて競争率が高いうえに、バブル崩壊のあおりを受けて就職難にあえいだ氷河期世代。「どうすれば面接に通るのか」はかなり切実な問題だった。
当時、「社会人としての気構えを持っているか」を試された世代がいま、50代を迎えて「人間として魅力があるかどうか」を試されている。中谷さんの新著『色気は、50歳から。』(春陽堂書店)では、人としての魅力=色気を身につける方法をさまざまな角度から掘り下げている。
中谷さんは、「50代から楽しくなる人は、色気のある人です」と言う。では、私たちがこれから身につけるべき大人の「色気」とは何なのだろうか。
色気のある人は、「愛されるよりも、愛する力をつけたい」と考えます。(中略)
「色気をつけることで、愛されたい」と思っていると、品のないイヤらしさになります。(本文より)
「愛されたい」という気持ちから身につける色気は自分のためにすぎない、若い世代と張り合ってもイタイだけ、と手厳しい。50代からは「誰かを愛したい、ハッピーにしたい」と願いふるまうことで、「品のある爽やかな色気」が生まれ、周囲に人が集まる素敵な人になれるのだと中谷さんは説く。
本書では、気の持ちようや人との付き合い方など、さまざまな場面で色気をかもしだすにはどうしたらいいか、を教えてくれる。たとえば、「予約を、自分でする」「自分から、会いに行く」など自分から他者に働きかけること、「過去を、懐かしがらない」「理解できないものを、好きになる」「自分の居場所にしがみつかない」など、これまでの経験や知識に拘泥することのない謙虚さも大切だ。
目次は以下の通り。
第1章 愛し力
モノより、人に興味を持つ。
自分以外の人への興味から、色気は生まれる。
ほめてくれない人も、好きになる。
理解できないものを、好きになる。
プレゼントを渡す時、照れないで、両手で渡せる。
「自分がどう見られるか」より、「相手がどういう気持ちか」を考える。
第2章 予約力
予約を、自分でする。
過去を、懐かしがらない。
「どうせ」という先入観より、「なんかありそう」という予感を持つ。
知識より、体験が多い。
自分が目立つことより、場を盛り上げることを考える。
説明するより、物語を語る。
非難する人も愛せるのが、包容力。
暗唱できる詩を持つ。
即答する。
必要のない準備を、楽しむ。
メニューを全部見ないで、決める。
オーダー変更を、ゴキゲンに受け入れる。
第3章 出会い力
自分から、会いに行く。
「そんなふうにとられちゃうんだ」より、「そんな気持ちにさせてしまった」。
つきあいやすい人と会っていると、疲れやすくなる。
ボキャブラリーを、増やす。
嫌われることを恐れず、断る。
アイコンタクトで、会話する。
常連は、常連ぶらない。
モナコでは、55歳までは、子ども。
格上を見て学ぶ。
その場の全員に話しかける。
相手に、恥をかかせない。
相手のリズム感に乗る。
色気は、脇道から生まれる。
第4章 ギリギリ力
ラクラクより、ギリギリに、色気が生まれる。
色気は、緊張感にある。
自分の居場所にしがみつかない。
待っている姿勢を、見られている。
手に入れることより、捨てることで、色気が生まれる。
負ける美学を持つ。
「あの人も、老けたな」と言わない。
冷蔵庫にあるもので、料理する。
第5章 面白がり力
「今あるもの」を、面白がる。
いじられることを、楽しむ。
ガチャガチャで、ハズレを楽しめる。
近道より、まわり道を選ぶ。
面白いことを探すより、なんでも面白がれる。
勝ち負けで考えている人は、笑えない。
オノマトペと感嘆詞を使う。
教えるより、教えてもらう。
第6章 変態力
知らないメニューを、オーダーする。
理由のないバカバカしい行動ができる。
他者の評価より、自分の基準でファッションを選ぶ。
感動するより、ザワザワする。
認められないけど、好きなものが、色気になる。
自分の弱点が、色気になる。
世界を敵にまわしても、味方になる。
かつて『面接の達人』を読んで内定をもらった人も、就職が決まらず回り道をしてきた人も、これまで生きてきた経験がきっと、人としての魅力につながっているはず。第二の人生にさしかかった今、おごらずカッコつけず、大人の色気を身につけて、新たな一歩を踏み出したい。
■中谷彰宏さんプロフィール
なかたに・あきひろ/1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から、恋愛エッセイ、小説まで多岐にわたるジャンルで、数多くのベストセラー、ロングセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
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