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「今がずっといい。でも今が信じられない。」気になる詩人・堀静香のエッセイ集

せいいっぱいの悪口

何が起こるか分からないから五年後が怖い。二十年後はもっと怖い。今がずっといい。でも今が信じられない。なのに、今しかない。

   先が見えないこの時代、まだ何も起きていない「今がずっといい」。でもその「今も信じられない」。なのに「今しかない」――。「わかる!」と共感する方も多いのでは。

   冒頭の一節は、1989年神奈川県生まれの詩人・堀静香さんのエッセイ集『せいいっぱいの悪口』(百万年書房)の表紙に書かれた文章の一部だ。2019年の秋の文学フリマ東京で発売した同タイトルのZINE(※)が評判を呼び、個人誌にも関わらず1000部完売したという。このたび、その作品を大幅に加筆修正し、書き下ろしを加え、10月22日に単行本として出版された。

(※ZINEとは個人で制作した冊子のこと)

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イラストレーター、MIKITAKAKOさんによる装画もおしゃれ。

今日生きていることも、昨日生きていたことも全部本当。明日生きたいことも本当。今がすべてで、いやそんなはずはない。適当で怠惰であなたが好きで、自分がずっと許せない。事故が怖い。病気が怖い。何が起こるか分からないから五年後が怖い。二十年後はもっと怖い。今がずっといい。でも今が信じられない。なのに、今しかない。晴れていて、風が強くて、花粉がすごい。くしゃみが出る。

   「ほかの誰でもないわたしが今生きていることの、まるごとすべて。」を書き記したという堀さんによる生活の記録。まっすぐで、むき出しの感情をのせた言葉の数々は、読む人の心に深く突き刺さる。今、すごく気になる詩人だ。

■目次
せいいっぱいの悪口
みんな魚
さわやかなかぜ
愛も希望も
タクトを折る
いきすぎた夜
日記 二〇一九年一〇月八日~一〇月一七日
はみだしながら生きてゆく
走馬灯の日々
オールドファッションと鶏皮
マンボウの下半身
日記 二〇二一年九月一〇日~九月二〇日
だれのことも
スーと夫
豆を拾う
春がきらい
日記 二〇二二年三月二日~三月三一日
躑躅のマゼンタ、伊勢エビの赤
あーちゃんも
あとがき

■堀 静香さんプロフィール
ほり・しずか/1989年神奈川県生まれ。山口県在住。歌人集団「かばん」所属。中高非常勤講師のかたわらエッセイや短歌をものする。著書にZINE『せいいっぱいの悪口』(2019)、ほか晶文社スクラップブック「うちにはひとりのムーミンがいる」連載(2020~2022)。



 
  • 書名 せいいっぱいの悪口
  • 監修・編集・著者名堀 静香 著
  • 出版社名百万年書房
  • 出版年月日2022年10月22日
  • 定価1,870円(税込)
  • ISBN9784910053318

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