あの人は、きっと私のような悩みなんかないだろう――。
隣の芝生は青く見えて、妬ましい。
KADOKAWAから発売された『あのママが妬ましい 幸せ比べ、天国で地獄』(著:きなこす)は、とあるパン工場に勤務する3人のワーキングマザーの群像劇。ついつい「あの人は、きっと私のような悩みなんかないだろう」と決めつけてしまいがちな人間の性を描く、「隣の芝生」マンガだ。
百瀬(ももせ)雪、25歳。第一子の出産から半年後、夫の稼ぎが少ないこともあり、地元のパン工場に復帰して働いている。
給料が低くて育児にも非協力的な夫と、一重まぶたでアイプチをしないと夫にスッピンも晒せない自分。その両方にコンプレックスを持ち、卑屈になっている。そんな雪は、物流部の雨宮さんに強烈に嫉妬していた。
なんでも、雨宮さんは社長夫人で、お金には困っていないけどパンが好きだからパートをしているらしい。こっちは金銭的理由で働いてんのに、そんなふざけた理由で......? ムカつく!
きっと雨宮さんの夫は、お金持ちで育児にも協力的にちがいない。一重まぶたの雪と違って、二重で美人な雨宮さんだからそういう人と結婚できたんだろう。いーなー!
雨宮涼香、32歳。雪から強烈に嫉妬されている涼香だが、人と会話するときはペンとメモ帳とボイスレコーダーが欠かせない、根っからのコミュ障だった。
幼いころから人と感覚がずれていて、ギャグで笑わせるどころか、まともに意思疎通することも難しかった。友達がいない学生時代を過ごし、今は子どもの頃に孤独を癒してくれた給食パンを作る工場で働いている。
ただ、コミュ障なだけあって職場に友人はいない。息子が通う保育園にもママ友はいない。他の子どもたちはママ友経由で友達ができたり、お誕生日会を開いたりしているのに、息子だけは、涼香のコミュ障が原因でそれができないのだ。
そんな涼香の憧れの人は、経理部の花岡さん。関西出身で、いつも笑顔で楽しそうに話すコミュ強人間の花岡さんは、経理の仕事をお喋りしながらでもバリバリこなす完璧人間。あんな人がママなら子どもも幸せだろーな。それに比べて私は......。いいなぁ。
花岡楓、40歳。涼香から憧れの眼差しで見られている楓は、義父母の介護問題に頭を抱える日々を送っていた。
ある日突然、義父母から「私達の介護を楓さんにお願いしたいの」「いずれは二世帯住宅にして同居しましょ」と、ほぼ命令のように告げられた楓。欲しかった女の子ではないという理由で孫を可愛がらず、共働きは母親の愛情不足になると楓をくさし、そのくせ小遣いだけは頻繫にせびる義母。そんな義母の介護なんて......。
楓は独身時代にも、認知症の祖母の介護をした経験があった。「老人ホームに入れるのはかわいそう」と親戚から介護を押しつけられた楓と楓の母は、好き勝手に暮らす親族を横目に、休みも家を離れられない日々を過ごしていた。もう一度あんな生活を、しかも大嫌いな義母のためにしなければならないのか。
そんな楓の目にまぶしく映るのは、製造部の百瀬さんの姿。若くて、元気で、自由で。あのくらいの頃、私は看護でヘトヘトやったな。百瀬さんは、介護とは無縁そうでええなぁ......。
周りからの評価を気にして不平不満ばかりの雪、コミュ障ゆえママ友が作れず子どもへの影響に悩む涼香、義実家のいびりと無関心な夫にひたすら笑顔で耐え続ける楓。苦悩し、嫉妬する3人のワーキングマザー。彼女たちが分かり合える日は来るのか――?
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