衆議院議員の藤巻健太さんが、国会で「三角関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」という趣旨の発言をしたとTwitterに書き込んだことが話題だ。
藤巻さんの発言の意図や詳しい内容などはまだ明らかになっていないが、数学の基礎的な概念である三角関数を軽視しているようにもとれるこの書き込みに、ネットでは疑問の声が多数挙がっている。
そんな中、偶然にも騒動と同じタイミングで発売されたのが、『14歳からのニュートン超絵解本 三角関数』(ニュートンプレス)だ。
月刊科学雑誌『ニュートン』を発行しているニュートンプレスより発売されたこの書籍では、「三角関数の起源からその使い道、「三角形」のしばりを取りのぞいた発展的な三角関数の考え方などを、やさしく紹介」してくれるという。つまり、中学生や、三角関数の内容をすっかり忘れてしまった大人が、三角関数がなぜ必要なのかを学ぶことができる内容になっている。
本書は、三角関数を「紀元前の昔から人々の生活を支えている、とても身近な数学」として、三角関数がいかに文明の発展に貢献し、私たちの暮らしを支えているのかについて説明している。
はじめ、古代の天文学から生まれたとされる三角関数は、やがて天文学から離れ、地図の測量などに利用されるようになっていったという。江戸時代には日本にも伝わっていたようで、あの伊能忠敬も地図作成の際には三角関数を使っている。三角関数は現代の地図を支えているのだ。
ほか、ゲームの処理、ロボットの姿勢制御など様々な用途がある三角関数だが、私たちにとってもっとも身近なものは、情報の圧縮に使われるそれだろう。音楽や画像などを圧縮する際には、その情報は三角関数として処理される。話題の発端となった藤巻さんのツイートに添付されているJPEGファイルも、三角関数あってのものといえる。
大事なのはわかったけど、エンジニアになるつもりはないし......と考えて学習意欲が無くなってしまう人にオススメなのは、『イージス・アショアを追う』(秋田魁新報社)だ。
2019年、秋田魁新報社は、ミサイル迎撃システム『イージス・アショア』の配備候補地選定を巡る防衛省の調査報告書に事実と異なるデータが記載されていることを独自調査で明らかにし、各方面から「優れた調査報道」と絶賛された。実は、その独自の調査報道で役立ったのが、担当記者が高校時代に習った三角関数だったという。
防衛省から出た資料に記載されていた「山を見上げた時の角度」が誇張されているのではと直感した記者は、高校の数Ⅱの知識を引っ張ってきて、その角度を自分で計算し、防衛省の資料の誤りに気づいた。技術者ではない一記者が、三角関数の使い方を覚えていたことがきっかけで大スクープを掴んだのだ。
詳しくは、書評「新聞協会賞のスクープは地元記者が分度器で発見した!」も参照していただきたい。
自分自身で使いこなせるかどうかは別として、ロマンがあることは間違いない。この機会に、もう一度三角関数を学びなおしてみよう。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?