現代を生きるほとんどの人が、ネガティブな感情に悩まされている。たとえば、こんなお悩みを持ってはいないだろうか。
・大きなストレスを抱えている
・孤独感にさいなまれている
・優柔不断で、決断するのが苦手
・やる気がなかなか出ず、先延ばし癖がある
・目の前の誘惑に負けがち
・心がいっぱいいっぱいになっている
・不安や心配が頭から離れず、マイナス思考におちいりがち
・恋人やパートナーと別れて傷ついている
・憂うつな気分から抜け出せない
こんな感情を抱えている人のための、「心の処方箋」がある。『STRESS FREE ネガティブな感情を力に変える ケンブリッジ大学の研究者が明かす科学的に正しいシンプルな63のメソッド』(ポプラ社)は、その名の通り英国ケンブリッジ大学で心の健康を研究しているオリヴィア・リームスさんが、ネガティブな感情に悩まされている人に、科学的な解決方法を処方する本だ。リームスさんのTEDトークはこれまでに500万回視聴を超え、大きな反響を呼んでいる。
ここでは本書の中から2つのケース、「大きなストレスを抱えている」「孤独感にさいなまれている」の対処法をご紹介しよう。
今、大きなストレスを感じている人へ。本書はまず、全てのケースに対して、すぐにでも実践できる〈即効〉メソッドを紹介している。ストレスに効く特効薬を見てみよう。
・5分間、呼吸に集中する
ゆっくり息を吸い、またゆっくり吐きます。そうするうちに、頭のなかの雑多な考えが消えていきます。考えが戻ってきても、注意を向けたり、エネルギーを与えたりせず、意識をそっと呼吸に戻します。緊張が少しずつ緩んでいくはずです。
・ばかばかしいことを想像する
まず、ストレスの原因である人物と交わした会話を思い出します。そのときに自分がどう感じるかを意識してください。不安になったり、胸のあたりにつかえを感じたりもするかもしれません。
次に、その人がものすごく変な服を着て、2オクターブくらい高い声でしゃべりながら、2秒ごとにしゃっくりするところを想像します。それから、もう一度、最初の会話を思い出してください。ただし、今度は「変な服」「甲高い声」「しゃっくり」も込みで。どんな感じがしますか?
こうすると、最初の(ストレス源の人物について考えたときの)ネガティブな感情を、ある程度消すことができます。さらに、ストレス自体も減らせるのです。
・ポジティブな人と話して、ポジティブな感情を分けてもらう
ストレスで煮詰まったら、いつもポジティブで会うと元気になれる人のことを思い出し、一緒に散歩に出かけましょう(実際に会えなければ、お互いに散歩をしながら電話してもかまいません)。ハッピーな人のそばにいると、自分もハッピーな気分になりやすいことが研究でわかっています。
著者のリームスさんは、特に2つめの方法を「お気に入り」だと言っている。ストレスに悩まされている人も、この対処法を読んで思わず笑って、気持ちが軽くなったのではないだろうか。
ユーモアは、科学的にストレスに効くことがわかっている。笑うと分泌されるエンドルフィンなどの化学物質が、コルチゾールなどのストレスホルモンを減退させ、「心地良さ」や「幸せ」を生み出してくれるのだ。
ユーモアは精神を安定させる効果もある。米ウエスタンカロライナ大学の実験では、被験者を3つのグループに分け、それぞれ「漫画を読む」「詩を読む」「何もしない」の指示をしたのち、全員にテストを受けさせた。すると、漫画を読んだグループは他2つのグループよりも点数が高かったのだ。研究者が結果を分析したところ、漫画を読んだグループは不安をあまり感じず、リラックスしてテストを受けていたことがわかった。
「ストレスには真剣に向き合わないといけない」と思い込んでいる人もいるかもしれない。しかしストレスを解決してくれるのは、ユーモアだ。くだらないことを考えて、ストレスを笑い飛ばそう。
感染症対策のために、人に会う機会がぐっと減ったという人は多いのではないだろうか。孤独感に効く〈即効〉メソッドをご紹介しよう。
・今日、知らない人ひとりに話しかける
日常生活で人に話しかけることには、想像以上の効果があります。近所に住んでいる人、犬の散歩をしている人、コーヒーを買う列で一緒になった人......たとえ見知らぬ相手でも、話しだせば気分はたちまち上向くはず。さらには実験で、「外向的に振る舞う」よう指示された人々は、よりポジティブな気分になったことも報告されています。
リームスさんは、アメリカの心理学者ジョン・T・カシオポ氏の「孤独感の不快さは、飢えや渇きや身体的な痛みの不愉快さにも匹敵する」という言葉を紹介している。実はもともと人間は、孤独でいる時間があまりに長いと調子を崩し、やがては病気になるようにできている。これは太古の昔、集団からはぐれると外敵に襲われるリスクが高かった時代の名残だ。
孤独を感じたら、健康を守るためにも人と話したほうがいい。家族や友人、仕事仲間など、知っている人と話せる環境ならば、ぜひ時間をつくっておしゃべりしてほしい。もし話せる相手が誰も周りにいないなら、たとえば記者はふらっと洋服屋へ行き、話しかけてきた店員をつかまえてしばらく世間話をすることがある。あるいは、こぢんまりとしたカフェやバーへ行って、店員と話し込んでみるのもいいだろう。日本だと電車で隣り合わせた人に話しかけると怪訝な顔をされるが、店員と客の関係ならばまず嫌がられることはないし、後腐れもない。話がはずめば、新たな行きつけができるかもしれない。
また人は孤独なとき、「自分は嫌われている」と思い込みやすいという。「自分がダメだから......」と心を閉ざしている人に対して、リームスさんは、「内面」ではなく「行動」にフォーカスするようアドバイスしている。「どんな人間か」ではなく「どんなことをしているか」、たとえば「今日は○人と話した」「新しいコミュニティに参加した」などに意識を向けよう。行動に集中すれば、自分の殻から出ていけるはずだ。
本書では加えて、「他人の反応はコントロールできないことを受け入れる」「話し上手ではなく聞き上手になる」「自分以外の問題に目を向ける」など、他人とコミュニケーションをとるうえでのポイントが紹介されている。なんとかして孤独を解消したいと思ったら、本書を開いて助けを探してみてほしい。
『STRESS FREE』ではほかにも、冒頭に挙げた「優柔不断で、決断するのが苦手」「不安や心配が頭から離れず、マイナス思考におちいりがち」など、全部で9つのネガティブ感情の対処法を解説している。当てはまるお悩みがあった方、きっとこの本があなたを助けてくれるに違いない。
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