親が高齢になると耳が遠くなったり、忘れっぽくなったり、さらに認知症になると、家族は介護のストレスに押しつぶされそうになる。
認知症の親との向き合い方や介護については様々な書籍が出ているが、交換ノートのやりとりで親とのコミュニケーションが劇的に改善した体験をコミックエッセイとしてまとめた『たづちゃんノート』(明日香出版社)が発売された。
本書は、認知症になった母親(たづちゃん)と娘である著者・千恵子さんが、交換ノートを通して続けた心の交流を綴ったコミックエッセイである。
本書ではフルカラーのコミックエッセイの形式で、認知症介護の切実な問題の中でも親子の絆をつなぐ方法を伝えていく。コミュニケーションの改善に役立ったのが、千恵子さんが始めた「学習ノート」だった。
「今日は何日?」「長男の名前は何ですか?」「次の計算をやってください」などの簡単な質問から始まった交換ノートにおって介護ストレスは激減し、コミュニケーションも円滑になったという。
このノートが、「認知症の進行を遅らせる」「連絡帳に使える」「親との最後の時間を記録できる」などメリットが大きかった。親の介護に役立つノート術をマンガとコラムでわかりやすく解説している。
また、「これから介護をする人」を対象に「要介護/要支援」といった介護保険制度の概要や行政手続きの手引きも収録。実用性も兼ね備えている一冊だ。
本書のもくじは以下の通り。
はじめに
プロローグ
人物紹介
第1章 父の認知症とグループホーム
・コラム 介護認定とグループホーム
第2章 すれ違う心
・コラム 同居介護はケアマネージャーに相談
・コラム 介護の動線を考えましょう
・コラム フルに活用したいデイサービス
第3章 たづさんと千恵子さん ~学習ノート①
・コラム ノートの書き方① ノートの基本
・コラム ノートの書き方② 脳トレとしてのノート
第4章 一緒に花見ができた ~学習ノート②
・コラム ノートの書き方③ 問題づくりに困ったら
・コラム ノートの書き方④ 連絡帳にも使えるノート
・コラム ノートの書き方⑤ ノートで介護のストレス解消
第5章 赤い糸でつくり続けた雑巾
・コラム ノートの書き方⑥ 交換ノートで体調チェック
・コラム ノートの書き方⑦ なかなか聞けないことをノートで確認
・コラム ノートの書き方⑧ 親との最後の時間を記録する
おわりに
認知症の親との交流記録としても残る交換ノート。いろいろな使い方ができそうだ。ぜひ手に取って、認知症の親と向き合うためのヒントを吸収しよう。
■著者 新美千恵子(にいみ・ちえこ)さんプロフィール
1958年生まれ。両親共に家業に忙しく、夏休みに母の実家へ帰省するのが幼少時の楽しみだった。短大卒業後に3年間保育士として活動。夫の転勤により大阪、東京などで生活した後、1998年以降は半田市に居住。2015年から母(たづさん)との交換日記をはじめる。認知症の親とのコミュニケーション術、親との最後を記録するこころのノートとして話題になる。趣味は愛犬とまったりすること、着物のリメイク。
■マンガ 石田サコさんプロフィール
イラストレーター、マンガ家。多摩美術大学絵画科油画専攻卒。書籍・Web・広告・教科書など実績多数。30年以上にわたって書籍や雑誌を中心にイラストレーターとして活躍。2018年より小学校の図工教師としての活動も開始。『一生使えるおばあちゃんの知恵』(成美堂出版)は17刷のロングセラー。
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