ネットやニュースでよく目にする「億り人」。自分とは縁遠いものだと思いがちだが、純金融資産(※)1億円以上を保有している世帯はおよそ133万世帯(2019年 野村総合研究所調べ)。これは、日本の世帯数(2020年)の2.4%にあたる。つまり、100世帯あれば2~3世帯は「億り人」世帯、という計算になる。いま住んでいるマンションのお隣さんが、実は「億り人」だった、ということも十分にありうる数字だ。
実際、彼らの多くは収入が圧倒的に多いわけでも、相続や一攫千金で財産を得たわけでもなく、普通の生活を送りながら1億円の資産を持ったという。でも......いったいどうやって? そんな謎に明快に答えてくれる本が『となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」』だ。
シニア層のライフプランニングを専門とする経済コラムニスト・大江英樹さんの著書『となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」』(朝日新聞出版)は、元証券マンで3万人以上の顧客を担当した著者が、その経験をもとに「億り人」の実像を明らかにする投資の本。本書では、インタビューや事例研究を交えて、「億り人」当事者から直接学んだ一生困らない資産形成術が紹介されている。
※1 預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険等の世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた額。
大江さんは、資産一億円をつくった人の思考・習慣・行動を分析して、以下の3点を共通点として挙げている。
1. 給与天引きでお金をため、残りの額で生活する
2. 保険には一切入らない
3. 投資は「長期、ゆっくり」。市場暴落時をチャンスと捉え、買い増す
どれも再現性が高く、理屈の上では誰にでもできる方法だが、誰もが実行できるわけではない。「億り人」は総じて、自己分析力が高く、合理的な判断ができる人たちなのだ。
さらに大江さんは、「億り人」には職業が違っても「共通する思考法」があると指摘する。
たとえば、重視する「モノ」の違い。大江さんによれば、お金持ちの人ほど、収入や社会的地位、住宅や車といった「地位財」よりも、愛情や自由、快適さといった「非地位財」を大事にするという。「他人が持っているモノは自分も欲しい」といった不要な欲を抑えることができるからだ。
実は前出の、「保険には一切入らない」という行動もここからきている。「自分にとって一番価値あるものはなにか」という合理的な思考を貫いているために、「不安を減らしたい」という欲望からくる無駄な保険加入を避けることができるというわけだ。
<目次>
第1章:「億り人」とはどんな人たち?
第2章:億り人の思考と行動
第3章:投資のパターン
第4章:「となりの億り人」インタビュー
第5章:「億り人」素朴な疑問Q&A
「はじめに」で著者は、「マネー誌や書店に並ぶ本にあるように『簡単に億り人になれる』というイメージは正しくありません」と釘をさしている。派手さはなくとも、地に足のついたお金の話を読みたい人にオススメしたい。
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