我が子、生徒、部下。誰かを「叱る」立場にある人、特に「きちんと叱らないとダメだ」と考えている人に、知ってほしい事実が二つある。一つは、「叱る」ということにはほとんど効果がないこと。もう一つは、「叱る」ことには依存性があり、どんどんエスカレートしていくということ。
私たちが知らない「叱る」の正体を、臨床心理士・公認心理師の村中直人さんが、著書『〈叱る依存〉がとまらない』(紀伊國屋書店)で解説している。
なぜ私たちは、「叱る」のをやめられないのか。そのヒントは、脳の「報酬系回路」にあった。
「叱る」と、私たちの脳は報酬を与える。つまり気持ちがよくなるのだ。誰かを叱ったあとに、スカッとしたり、得意になったりした経験はないだろうか。叱る気持ちよさにハマると、人は〈叱る依存〉におちいっていく。
虐待、DV、パワハラ、バッシング。〈叱る依存〉はさまざまな社会問題を生んでいる。私たちは、〈叱る依存〉とどう付き合っていけばいいのか。本書で〈叱る依存〉の詳しいメカニズムと、「叱る」こととの付き合い方を学んでほしい。誰にとっても、決して他人事ではない。
【目次】
はじめに
Part 1 「叱る」とはなにか
1 なぜ人は「叱る」のか?
2 「叱る」の科学――内側のメカニズムに目を向ける
Part 2 「叱る」に依存する
3 叱らずにいられなくなる人たち
4 「叱らずにいられない」は依存症に似ている
5 虐待・DV・ハラスメントとのあいだにある低くて薄い壁
Part 3 〈叱る依存〉は社会の病
6 なぜ厳罰主義は根強く支持されるのか?
7 「理不尽に耐える」は美徳なのか?
8 過ちからの立ち直りが許されないのはなぜか?
Part 4 〈叱る依存〉におちいらないために
9 「叱る」を手放す
あとがき
〈叱る依存〉をより深く考えるためのブックリスト
注
■村中直人(むらなか・なおと)さんプロフィール
1977年生まれ。臨床心理士・公認心理師。一般社団法人子ども・青少年育成支援協会代表理事。Neurodiversity at Work株式会社代表取締役。人の神経学的な多様性に着目し、脳・神経由来の異文化相互理解の促進、および学びかたの多様性が尊重される社会の実現を目指して活動。2008年から多様なニーズのある子どもたちが学び方を学ぶための学習支援事業「あすはな先生」の立ち上げと運営に携わり、現在は「発達障害サポーター'sスクール」での支援者育成にも力を入れている。著書に『ニューロダイバーシティの教科書――多様性尊重社会へのキーワード』(金子書房)がある。
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