「初対面の相手、気難しい顧客、無口な人、面倒な上司...誰とでも15分楽しく話して結果を出す」
松橋良紀(まつはし よしのり)さんは、これまで25万人の雑談力を高めてきた雑談のプロ。
「もともとは雑談が大の苦手で、コミュ障の売れない営業マン」だったそうだが、心理学を通じた雑談術を学んだところ、わずか1か月で全国トップの営業マンに。そのころからコミュニケーションスキルを教え始め、30年になる。
本書『すごい雑談力 25万人が自信をつけた話し方・聞き方のルール』(秀和システム)は、「雑談のピンチを一瞬でチャンスに変える技術」「口よりも耳! 雑談を盛り上げる聞き方の技術」「『何を話せばいいの?』がなくなる"無限ネタ術"」「相手に合わせることが9割『タイプ別の雑談法』」「プライベートが10倍楽しくなる男女の雑談術」を紹介する1冊。
テレワークが増えたことで、「人間関係が希薄になった」「部下との人間関係を築くのが難しい」「リアルで会わないからか、新入社員がどんどんやめてしまう」という悩みを持つ人が一気に増えたそうだ。
「一見ムダと思われていた雑談は、じつは人間関係を築くうえで重要な役割を果たし、組織をスムーズに動かす潤滑油になっていたのです」
雑談の大切さに気づいた人が多かった一方で、日本人の約9割が「コミュニケーションが苦手」と思っているとの調査結果も。
オンライン時代の雑談方法の1つとして、「ミーティングでのアイスブレイク」を紹介している。これは、すぐに本題に入らず、「よかったこと(Good)」と「新しい発見(New)」を1人ずつ発表する時間をつくり、全員で共有するもの。
ちなみに、オンラインではうなずきも笑顔も「3割増しで表現」しないと伝わらないそうだ。「リアクションはオーバーに」を意識しよう。
雑談に苦手意識がある人は、そもそも聞き方に問題があることを自覚していないという。たとえば、上司が「この前の日曜日に、浅草の雷門に行ってきたんだよ」と話してきた場合、あなたならどう返すだろうか?
1 「そうなんですね。海外からの旅行客で混んでたでしょう?」
2 「へえ、誰と行ったんですか?」
3 「いいですね! 私も3回くらい行ったことがありますよ」
じつは、全部不正解。1は自分の意見を言っているだけ。2は話の腰を折る可能性が高い。3は話泥棒......。これらは「ブロッキング」と呼ばれる、相手の口を重くする聞き方。正解は、「へえ、雷門に行ったんですね」または「へえ、雷門に?」。次のコツを覚えておこう。
1 相手が何を言いたいのかを、勝手に決めつけない。
2 相手が話す前に自分の意見を言わない。
3 相手が話したいと確定できないことを質問しない。
会話がちぐはぐになったり、話が通じなかったりするのは、自分と相手のタイプの違いによるミスコミュニケーションが原因という。次の4つのタイプのうち、あなたが苦手なのはどれだろうか?
1 孤高の前進タイプ
結果重視、効率重視、データ重視、ビジネスライク/指示する、威圧的、支配的 など
2 ノリのいい直感感覚タイプ
感情豊か、表現力豊か、ボディランゲージが豊か、面白おかしく話す/淡々と継続すること、ルーティン、細かいことが苦手 など
3 温和な協調タイプ
人のサポートが得意/気遣う言葉が多い/優柔不断で決断することが苦手 など
4 理論中心の分析タイプ
人間関係よりも仕事や課題を重視、研究者気質、職人気質/話が長い、理屈っぽい など
1は、そもそも雑談を好まない。雑談や丁寧な文章はまどろっこしくて迷惑に感じるため、簡潔なコミュニケーションが必要。こちらがほめたり質問したりすることも嫌がる。
2は、自分からたくさん話す。注目されることが生きがいのため、こちらが大きくリアクションしたりほめたりすると、素直に喜ぶ。
3は、話を聞く側に回ることが多い。こちらが主導権を持って積極的に話しかけるのがいい。あいさつ、お礼、感謝を欠かさず、丁寧に。
4は、時間つぶしのつまらない雑談はしたくない。特定のことを専門的に追究するため、こちらがその面白さを教えてもらうスタンスで雑談する。
ちなみに、雑談ネタの見つけ方としては、「銀座のホステス必須『木戸に立ち掛けし衣食住』」を紹介している。場がしーんとなって焦ったときに使ってみよう。
キ(気候、天気)/ド(道楽、趣味)/ニ(ニュース)/タ(旅、旅行)/チ(知人、友人)/カ(家族)/ケ(健康)/シ(仕事)/衣(衣類、ファッション)/食(食べ物)/住(住まい)
とくに、この春から新しい環境に身を置く人は、「雑談力」を磨いてみては?
■松橋良紀さんプロフィール
雑談コミュニケーション専門家、コミュニケーション総合研究所代表理事。1964年青森市生まれ。ギタリストを目指し上京。7年後に夢をあきらめ営業の世界に飛び込む。しかし強度の人見知りで、とくに雑談が大の苦手なためまったく売れず。ところが、30歳で心理学に出合うと、人生が激変。つねに下位グループだったセールスマンが、学んでからほんの1か月で全国450人中1位に躍り出る。出版を機にテレビ、ラジオ、新聞、雑誌の取材など、マスコミにも多数出演。主な著書に『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』(中経出版/KADOKAWA)、『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』『あたりまえだけどなかなかできない雑談のルール』『あたりまえだけどなかなかできない聞き方のルール』(以上、明日香出版社)、『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす 「聞くだけ」会話術』(ダイヤモンド社)、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)など、20冊以上がある。
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