東京オリンピックの開会式・閉会式で、「手話の人」が注目されたのは記憶に新しい。豊かな表情と大きな身振り手振りが話題となった。ちょっとやってみたくなった人も多いのでは......?
そんな方におススメの入門書が『動画つき 気持ちが伝わるはじめての手話』(主婦の友社)だ。初心者が学びやすい工夫がいっぱいで、1つずつステップアップできる。新型コロナウイルスに関連するワードも多く掲載されていて、「新しい生活様式」にも対応しているのが特長だ。
手話の動きには意味や語源があるものが多い。
例えば「良い」という手話。(※写真は鏡合わせにマネできる「ミラー撮影」で左右反転)。鼻の前で握った手を前に出す動きをする。
これは、「鼻高々」という言葉を踏まえ、「良いことがあって鼻が高い様子」から作られたという説がある。
また、「悪い」の手話では、鼻の前に立てた指を横に倒す。
これは、「(鼻高々だったのが)ぽきっと折れた様子」で、「良い」から一転して「悪い」なのだとか。セットで覚えられそうだ。
「新しい生活様式」の用語も豊富に掲載されている。「新型コロナウイルス」の手話は以下の通り。
「新しい」⇒つぼめた指先を開きながら前に出す。新芽が開く様子といわれる。
「コロナ」⇒片手を握り、その後ろで反対の手の指を伸ばして半回転。太陽の「コロナ」の炎を表現。
「ウイルス」⇒筒状にした片手の下で、反対の手の2本の指をぐるっと回す。これは顕微鏡をのぞいている様子で、下の手はうごめくウイルスを表す。
「新しい」+「コロナ」+「ウイルス」と3つの単語を組み合わせるのだが、意味を知ると「なるほど」と頷いてしまう。
ほかにも、「マスクは必要ですか?」「ワクチン接種はしましたか?」「在宅勤務にも慣れました」といった日常会話や、「体温を測らせていただきます」「換気にご協力ください」「人数制限があります」といった接客手話など、最近よく聞く会話も収録されている。
手話の写真は「ミラー撮影」を採用。鏡合わせにマネしやすいよう、写真を左右反転して収録している。写真に向かって同じ側の手を動かせばよい。2画面式で右利き・左利きどちらの人も学びやすい動画も収録されている。
基本の指文字、よく使う単語、あいさつ、簡単な会話から、道案内、交通案内、いざというときの手話、接客手話など1冊で基本から順番に学ぶことができる。
また、手話でコミュニケーションを取るうえで知っておきたい基本知識や、耳の不自由な方たちの取材協力のもと、実際によく使う単語やフレーズがセレクトされている。
五十音を表す主語も。組み合わせれば、「オミクロン株」も手話で表現できるかも......?
手話を学べば、多くの人と言葉を交わすことができるし、時には人助けにもつながる。学習を始めやすいのも魅力だ。2022年に新しいことを始めたいと考えている方は、手話にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
■監修:谷 千春(たに・ちはる)さんプロフィール
1960 年東京生まれ。手話通訳士。NHK手話ニュースキャスターやテレビの手話講座の講師を経て、現在、NPO手話技能検定協会副理事長。英語の手話も堪能で、数々の国際会議でも手話通訳者として活躍している。著書・監修書に『DVD つきゼロからわかる手話入門』『はじめての子ども手話』(ともに主婦の友社)、『コンパクト手話辞典』(池田書店)など。
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