本を知る。本で知る。

まもなくスタート! 大河『鎌倉殿の13人』。13人って...?という人のための3冊

鎌倉人物伝 北条義時

 9日から放映されるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、三谷幸喜さんが脚本を務め、主演の北条義時役を小栗旬さんが、源義経を菅田将暉さんが演じることもあり、話題沸騰中。その『鎌倉殿』、実は、2001年の『北条時宗』以来、なんと22年ぶりに鎌倉時代を扱っている。

 大河と言えばやはり幕末・戦国で、中世を扱っている時点で珍しい。比較的近い平安時代末期を描いた『平清盛』ですら10年前だというから、あまりに久々の鎌倉モノに「鎌倉時代ってどんな感じだっけ......?」「13人って誰?」と困惑気味の人は少なくないだろう。

 そこで今回は、鎌倉時代をざっくりおさらいできる3冊をご紹介。これで予習すれば、『鎌倉殿』を隅々まで味わい尽くせること間違いなしだ。

マンガでわかる北条義時

 1冊目は、静霞薫(しずかかおる)さん原作、中島健志(なかしまたけし)さん作画の学習マンガ『鎌倉人物伝 北条義時』。2021年12月にポプラ社より刊行された。

book_20211223121056.jpg

 『北条義時』は、累計270万部突破の「コミック版 日本の歴史」シリーズ80作目で、『鎌倉殿』の主人公である北条義時が題材になっている。企画・構成・監修は、歴史家として知られる加来耕三さんが担当。本格的な時代考証にもとづいた場面構成と、ドラマチックな物語を楽しむことができる。

 伊豆の豪族・北条家に生まれた義時。平家によって伊豆へ流されていた源頼朝と、義時の姉・政子が結婚すると、義時ら北条家は頼朝とともに、打倒平家を掲げて挙兵する。平家を討ち果たし、征夷大将軍に任じられた頼朝は鎌倉幕府を開くが、まもなく急死してしまう。

 跡を継いだ頼朝の嫡男・頼家が独裁的だったため、義時ら有力御家人たちは、「十三人の合議制」をもって政治を行うことを決定する。ところが、この合議制が、図らずも御家人同士の権力争いを激化させることに。それはやがて朝廷との対立を生み、義時は頼朝が目指した「武士の世」を実現させるため、朝廷との戦いを決意することになる......。

 「ん?13人?」と思った人は正解。そう、この13人こそ「鎌倉殿の13人」、だ。メンバーについては、ぜひ本作で確かめてほしい。

各巻末には、主人公たちをよく知るための解説や豆知識、年表も収録されている。小栗旬さん演じる『鎌倉殿』の北条義時を読み解く参考書になりそうだ。

義経はお笑い芸人でいうあのひと

 2冊目は、芸人の松村邦洋さんの『松村邦洋「鎌倉殿の13人」を語る』。2021年12月11日にプレジデント社より刊行された。

book_20211223121332.jpg

 芸能界随一の歴史通として知られる松村さん。本書では、これから放映される『鎌倉殿』を楽しみ尽くそうと、熱弁している。まず、菅田さん演じる義経について――。

もう平家を倒す、戦で勝つことしか考えていない人間ですからね。戦の後のマツリゴトをどうするかをキッチリ考えてる頼朝とか景時とか、少し遅れて北条義時なんかとは全然違うんですよ、やっぱりね。

 さらに、これを1980年代の漫才ブームで活躍した芸人にたとえると――。

 漫才ブームで勝ち抜いてトップに立ったB&Bさん、ザ・ぼんちさんのお二組なんかが義経なら、頼朝に当たるのは、ブームが一通り落ち着いた後、レギュラー何本持つとか一人になって何をしようとか、先々を考えて手を打って生き残った、ビートたけしさんや島田紳助さんでしょうかね。
 

 こんな具合で、松村さんの舌は絶好調。他にも「政子、頼朝の愛人の家をぶっ壊す」「闇営業をやっちゃった義経」など、面白いテーマが盛りだくさんだ。

笑っているうちに歴史が学べるという一石二鳥の一冊。ぜひ『鎌倉殿』が始まる前にチェックしておきたい。

陰謀、人脈、根まわしの鎌倉

 最後は、ビジネス目線で鎌倉時代を紐解く一冊。テレビでお馴染み、東京大学教授・本郷和人さんの『北条氏の時代』(文春新書)を紹介する。本書は2021年11月18日、文藝春秋より刊行された。

book_20211223121510.jpg

 鎌倉時代を専門とする本郷さんは言う。

声を大にして言いたい。鎌倉時代こそ、日本史の大きな転換点であると同時に、ドラマティックな面白い時代でもあるのです。

 鎌倉といえば、血なまぐさい戦いと陰謀の時代。実は、義時、泰時、時頼といったリーダーたちも、必ずしも生まれながらにしてトップの座を約束されていたわけではなかった。北条家の嫡男とみなされていた存在は別にいて、彼らはさまざまな局面でその「実力」を示すことにより、リーダーとして認められていったのだという。

 7本郷さんはそんなリーダーたちの生存戦略を「実力(武力、陰謀力)」、「人脈力(結婚などによる関係構築、人材登用)」、そして「根回し力(武士たちの「世論」を読む力)」の三つの視点で分析。とくに「世論」を読む力が大切だったと強調する。

鎌倉幕府は関東武士たちによる、関東武士たちのための政権として出発しました。そこで重要となったのは、いかに多くの味方を集めるかだったのです。一時的にイニシアティブを握っても、武士たちからの支持が得られなくなると、あっという間に失脚してしまう。

 世知辛いことに、鎌倉時代においても「周りの空気を読む」ことは重視されていたようだ。本書では、この「空気読み」以外にも「世襲の弊害を防ぐ方法」「敵を作らない根回し」など、当時の武士にとって欠かせない知恵が紹介されている。『鎌倉殿』の登場人物たちがとる行動のバックグラウンドが理解できる一冊だ。

※画像提供:ポプラ社、プレジデント社、文藝春秋


   
  • 書名 鎌倉人物伝 北条義時
  • 監修・編集・著者名加来 耕三(監修)静霞 薫(企画/原案)中島 健志(イラスト)
  • 出版社名ポプラ社
  • 出版年月日2021年12月 8日
  • 定価1,210 円 (税込)
  • 判型・ページ数A5判・127ページ
  • ISBN9784591171943

新着記事の一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?