ドラマ『最愛』(TBS)で主演を務める吉高由里子さんと松下洸平さん。向かい合って食事をするシーンでふと、ふたりとも左利きであることに気づいた。実は物語の大事なカギを握っているのかも...と、あれこれ考察する人も。左利きというと、なんとなく「特別感」を感じるのはなぜだろう。
単に「みんなと違うから」ではなく、実際、左利きは特別な才能を持っているという見方もあるようだ。今回は1万人の脳を見てきた名医が最新脳科学で左利きの才能を明かしていく興味深い1冊を紹介しよう。
『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)。著者は脳内科医の加藤俊徳さんだ。加藤さんによると、左利きの人は独特な脳の使い方をする傾向があるという。
その個性の1つに「直感」がある。加藤さん曰く、近年では、直感に従って決断すると、論理的に考えるより、よい結果が出るという研究結果が発表されている。
ここで、右脳と左脳が焦点となる。右脳は、モノの形や色、音などの違いを認識する。一方、左脳は、言語情報を扱い、計算をし、そして論理的・分析的な思考をする機能を持っている。左手から右脳に刺激を送り続けている左利きの人は、右脳を活用した「直感」に優れているのだという。
自身も左利きの加藤さん。直感は「当てずっぽう」とは違う、と言う。
私は、「直感」とは意識では覚えていない膨大な情報を蓄えている脳のデータベースから、精度が高く、より正確な情報を選択して導き出された結果だと考えています。
近年では「論理的思考」がよいこととされているが、加藤さんは、「論理性を重視する人は特に、言葉の定義や選択などにこだわる傾向がある」と指摘する。
直感は、「言葉で論理的に説明可能なもの」としては表れない。しかし科学の世界では、「仮説→検証」の段階を踏むときに、特に「仮説」の段階では発想の飛躍が求められる。そのため「もしかしたら、こうではないか?」という直感に基づく仮説はここで大活躍する。
本書では他にも「独創性」「ワンクッション思考」など様々な観点から左利きの特性を紹介していく。
さらに、左利きは遺伝なのか、人類はいつから右利きが優勢になったのか、左利きは認知症になりにくい?!、子どもは右利きに矯正したほうがいい?など、気になるコラムも。
世の中、右利きがスタンダードにできているので不便を感じることも多いかもしれないが、特性を知れば、生かせる分野が見つかるだろう。右利きの人は、左利きがうらやましくなるかも?
■加藤俊徳(かとう・としのり)さんプロフィール
左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。1991年、脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。95年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHDなど発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見する。帰国後は、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて1万人以上を診断、治療を行う。著書に『脳の強化書』(あさ出版)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞出版)、『大人の発達障害』(白秋社)など多数。
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