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えっそうなの? 土井善晴が「味噌汁にだし汁は不要」と説く理由

お味噌知る。

 日本を代表する料理研究家の土井善晴さん。土井さんの娘であり、同じく料理研究家の土井光さん。父と娘の初めての共著となる『お味噌知る。』(世界文化社)が10月30日に発売された。日本人に馴染み深い味噌を使った土井家とっておきの味噌汁と味噌料理のレシピを公開している。

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 「食事は一汁一菜で良い。」現代人にとっては衝撃とも言える一言を2016年に提唱したのは土井善晴さんである。忙しい日々の中でも、きちんとした食事を作って食べることこそ健康へと繋がるとプレッシャーに感じていた多くの人々をラクにしてくれた言葉だ。

 「一汁一菜」だけでも意識できれば、健康を持続することができる。料理初心者から自活を始める人にもぴったりのすぐ始められる実践版だ。

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基本のお味噌汁

 まず一人分のお味噌汁の作り方を丁寧に教えてくれる。

①ひと椀の具材とひと椀のお水を
②小鍋に入れて中火で煮立て
③味噌を溶いたら
④お味噌汁

 水で具材を煮て(中火が大事!)味噌を溶く、それだけで十分、まずは自分で作って飲むことが大切だと土井さんは言う。料理初心者で何を作ればいいか分からないという人に、まずはひと椀の具材とお水と味噌を使って、味噌汁を作ってみることをすすめる。

だしを取らなくても美味しい味噌汁はできる

 土井さんが「だしの取り方」に注力していないことにびっくり。美味しい味噌汁は「だし」が決め手と思っている人も多いのでは。

 「だし」にこだわらない理由は、味噌汁のおいしさの根拠はだし汁(単純)ではなく、もっと複雑な化学変化と情緒によるものだという。「あらゆる食材から物質が溶け出して旨味のある水溶液(だし汁)になるので。味噌汁を作るのに、だし汁(鰹と昆布)は不要です」と説いている。

 だしを取らなければお味噌汁ができないと思っていた人を、「だし」から解放してくれるありがたい言葉だ。明日から、実践してみたくなる!

 「だし」を取りたければ、取った後も食べられ、カルシウムなどの栄養価の高い煮干しや昆布をすすめている。

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落とし卵といろいろ野菜の味噌汁

 基本の作り方をマスターしたら、油で炒めた具材に水を加える「油炒めのお味噌汁」や、汁と具材を別で火入れをする「フレッシュなお味噌汁」を紹介している。基本の作り方に、この2つをプラスして、場面や具材に応じて使い分けるだけで、食事のレパートリーはあっという間に増えるはずだ。難しい和食のルールに縛られることなく、家庭内にある食材を使って楽しむ方法を教えてくれる。

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味噌汁はバタートーストとも相性が良い

 おかずも兼ねた味噌汁を作れば、食事の中心としてご飯やパンと合わせて「一汁一菜スタイル」へとアレンジすることができる。食事の準備が手軽になるだけではなく、食べるものを自分で作ることで自立にも繋がる。

 味噌汁の具材の扱い方や下ごしらえの方法も、具材ごとに丁寧に説明されているので、初心者はもとより、よく作る人もなるほどと納得!具材は定番以外にも、「きゅうりとハム」「とろろ」「ワンタンの皮と豚バラ、大根」「炒めキャベツ」「餅入り納豆汁」など、意外性のある具材を使ったレシピも紹介されている。なんでも具材になり、自由に楽しめるのだと、再発見できる。

 目次は下記の通りである。

お味噌汁という私たちの強い味方
一、自立の味噌汁
二、家族の味噌汁
三、組み合わせる味噌汁
四、季節の味噌汁
五、味噌料理、スペシャルな味噌汁

 また、本書は長年食に関わってきた土井善晴さんの考える暮らしに寄り添うエッセイ本でもある。料理について、料理と家族の関係性、体から発される声をきちんと聴くこと等など、「自分で作って食べることがすべての始まり」と説く土井さんならではの考えの詰まった1冊だ。

 自活を始める人、最近料理をするのが面倒になってとこぼす親世代へのの贈り物としても最適だ。

■土井善晴さんプロフィール
料理研究家・土井 勝の次男。
芦屋大学卒業後、スイス、フランス、大阪で料理修業。土井勝料理学校勤務の後、1992年に独立、「おいしいもの研究所」代表。十文字学園女子大学特別招聘教授、甲子園大学客員教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。1987年より『きょうの料理』(NHK)などに出演する。著書に『一汁一菜でよいという提案』『くらしのための料理学』『土井善晴のわが家で和食全101巻』『土井善晴の素材のレシピ』『料理と利他』など多数。
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土井善晴さん

■土井 光(どい ひかる) さんプロフィール
料理研究家・土井善晴の長女。
白百合女子大学でフランス語学を専攻、その後フランス・リヨンにあるL'institut Paul Bocuseでフランス料理とレストランマネージメントを2年半学び卒業。三つ星レストラン「ミッシェル・ゲラール」「トロワグロ」で料理、リヨンの老舗ショコラティエ「ベルナション」でパティシエとして勤務。在仏歴7年。2018年より「おいしいもの研究所」在籍。料理講習会のフランス語通訳やフランスと日本文化を繋ぐイベント参加なども行う。本書が初の共著となる。
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土井 光さん


※画像提供:世界文化社

  • 書名 お味噌知る。
  • 監修・編集・著者名土井善晴・土井 光 著
  • 出版社名世界文化社
  • 出版年月日2021年10月30日
  • 定価1,760円(税込)
  • ISBN9784418213177

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