滑舌が悪い、声がこもる、小さい、キンキンする――自分の声が好きではないという人は、意外と多い。最近はマスクをしているのでより聞き取りづらく、聞き返されることもしばしば。声に自信がないと、話すことに抵抗を覚え、自分に自信が持てなくなる。他人から指摘されて、傷ついた経験をした人も多いのでは。
本書『相手に「伝わる声」の出し方』(あさ出版)では、こうした声の悩みを解消するトレーニングを紹介している。
著者の田中直人さんは、アナウンサーや声優、DJ、歌手など、プロからアマチュアまで1万人以上の声をトレーニングした実績を持つボイストレーナー。声の悩みは「生まれつき」ではなく、いままでの人生の中での声の負担や間違ったケア、間違った発声法によって引き起こされているという。
声の悩みのほとんどは、「正しいケア」などの知識を身につけ、本書で紹介する「声のトレーニング」を行うことによって、あっさり解決してしまうことも少なくありません。
田中さんによれば、「いい声」と「聞き取りやすい声」は違う。「いい声」は好みの問題だが、「聞き取りやすい声」は万人に共通しているという。本書では、「スッと耳に入る」「聞き返されない」「よく通る」声=「ナチュラルボイス」をめざしたトレーニング法を紹介している。
ナチュラルボイスを出すために必要なのは、体(フィジカル)・技(テクニック)・心(メンタル)の3つの要素だ。
体(フィジカル)=<呼吸>×<姿勢>×<支え>
技(テクニック)=<音程>×<リズム>×<音量>
心(メンタル)=<感謝>×<自信>×<笑顔>
本書では、体(フィジカル)と技(テクニック)を身につける具体的なレッスンを順に行い、読み終わったときには自然と心(メンタル)が身につくよう構成されている。
ここでは、体(フィジカル)の基本の三原則を紹介しよう。
1.呼吸
あたりまえにしてはダメ。とにかく深い呼吸を心がける。
2.姿勢
上半身は完全リラックス。
両肩を上げて、つま先を上げて、両方同時にストンと落とすと力みが抜ける。
ストレッチを習慣にする。
3.支え
体重(重心)をしっかりと足元に落とし、下半身でどっしりと支える。
※木のように、自分の足元から地面の奥まで根っこが生えて、どっしりしているイメージを持つ。
この三原則をおさえたら、ストレッチと呼吸法、表情筋のトレーニングを行う。
続いて技(テクニック)のレッスンでは、声の高さ、速さ、大きさをコントロールする術を身につける。意外にも、リップロール(唇をプルプルと震わせること)やハミングが、低音域や高音域のナチュラルボイスを出すために効果的だという。
本書ではさらに、滑舌が悪い、声がこもる、声が上ずる、といった悩みの解決法や、ビジネスで勝てる声になる方法、マスク&リモートワークで心がけたいことなども紹介している。
声に自信が持てれば、人とのコミュニケーションもより円滑になるだろう。いままで声で損をしてきた人は、騙されたと思ってトレーニングを試してみては。
■田中直人さんプロフィール
株式会社エートゥーナンバーレコード 代表取締役/ATOボーカルスクール代表/一般社団法人オンラインボイトレ振興会 理事長
日本大学芸術学部在学中に、日本初の音楽スクール&レーベル「AtoNO Records」(現・株式会社エートゥーナンバーレコード)を設立。2年目には50名以上の生徒が通う人気スクールに。これまで、〈アナウンサー〉〈声優〉〈DJ〉〈歌手〉をはじめ、いわゆる「大御所」「先生」と呼ばれるような歌い手や、近年では〈You Tuber〉など、プロからアマチュアまで、1万人以上の〈声〉をトレーニングした実績を持つ。日本テレビ『ZIP! 』、TBSテレビ『日本レコード大賞』、J-WAVE『TOKYO MORNING RADIO』他、〈テレビ〉〈ラジオ〉などのメディア出演多数。「たーなー先生」の愛称で信用信頼を一心に受けている。
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