ビジネスにも就活にも役立つ、リモート時代の必須スキルとは何か。それは「声の力」だという。
オノマトペ研究家・藤野良孝さん、フリーアナウンサー・海保知里さんの共著『あなたの「声」と「滑舌」がどんどんよくなる本』(青春出版社)は、アナウンサーのような「声」と「滑舌」がサクッと身につくという「オノマトペ練習法」をまとめた一冊。
「マスク越しやソーシャルディスタンスを保った会話や、オンラインでのコミュニケーションが普及している今だからこそ、アナウンサーのような好印象を与える『声』の存在が、あなたの武器(強み)になるのです」
本書は「『声』と『滑舌』で、印象も評価もガラリと変わる!」「『声』がどんどんよくなる!」「『滑舌』がどんどんよくなる!」「『話し方』がどんどんよくなる! 」の構成。1つ目のパートは読み物、2~4つ目のパートはイラスト付きトレーニング実践法となっている。
はじめに「今後、『声』という伝達ツールの価値の育成が不可欠になるでしょう」とある。ただ、顔の手入れはしても声は何もしない人が圧倒的多数だろう。それは、声は変わると思っていないから。
「ですが顔は、もう一度生まれ変わるか、整形でもしない限り変わりません。しかし『声』は、トレーニング次第で、今この瞬間から、ガラリと変えられるチャンスがあるのです」
まず、なりたい自分を思い描く。そこから理想的な声や話し方をイメージする。それに向けて「オノマトペ練習法」でトレーニング。すると、キャラクター、印象、評価まで大きく変えることができるという。まるで容姿を磨く感覚で、声を磨くというのだ。
オノマトペとは、「人や動物、モノなどが発する音や声を表す『擬音語』と、状態や心情を表した『擬態語』をまとめた言葉」のこと。
たとえば、「犬がワンワン吠える」の"ワンワン"、「心臓がドキドキする」の"ドキドキ"。オノマトペは幼児語に分類される非常にハードルが低い言葉で、その数はたくさんあるという。
「オノマトペ練習法」の特徴は、気軽に取り組めて、しかも短期間で効果を感じられること。藤野さんは自身のブログに「シンプルかつ分かりやすさを第一に作りました」と書いている。
トレーニングの前に、まずは自分の声を録音して、話し方を俯瞰するところから始める。思ったより高い・低い、老けている・幼い、滑舌がよい・悪い、早い・遅いなど、自分の耳で確認するのだという。
「最終的な目的を意識しながらトレーニングを開始すれば、確実にあなたの声と印象を、思う方向に変えることができるはずです」
「オノマトペ練習法」には、発声、呼吸、姿勢、表情、間合いなどが含まれている。今の自分に必要なもの、今の自分はここが弱いと思うものから始めればいいそうだ。
海保さんは本番前に必ず、母音を繰り返す「あえいうえおあお」など、滑舌のトレーニングを最低15分しているという。これにより、本番で話す言葉がシャキッとして、発音が明瞭になるのだとか。
そこで藤野さんが紹介するのが、「5つの子音オノマトペを、母音を意識して発声」という練習法。「さーさー→さあさあ」「しーしー→しいしい」「すーすー→すうすう」......という具合である。このとき、母音を強調しながら口をしっかり開けて発声することがポイント。
また、海保さんは「笑顔は好印象な話し方の基本中の基本」「マスクに甘えて口角を下げたまま話していると、笑顔でないことが必ず相手に伝わってしまいます」としている。
そこで、オンラインで会話をするときに覚えておきたいのが「『じー、ふっ、にっ』で準備」。まず、「じー」でレンズを見る。次に、「ふっ」でアゴを引いてレンズの下の方を見る。最後に、「にっ」で口角を上げて笑顔になる。
たしかに、マスクで顔の下半分を覆っていると、どうしても表情が乏しくなる。人と接する機会も減り、話し方もだいぶ適当になってきた。リアルでもリモートでも、もっと「声」を意識したほうがよさそうだ。
「未来のあなたを輝かせるのは、これからアップデートしてゆく『声の力』なのです」
■藤野良孝さんプロフィール
オノマトペ研究家、会話評論家、博士(学術)。朝日大学保健医療学部准教授。早稲田大学国際情報通信研究センター招聘研究員、早稲田大学ことばの科学研究所研究員。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て、現職。日々の生活でオノマトペの効果を役立ててほしいと願い、テレビ、ラジオ、講演などを通じて、その普及に努めている。
■海保知里さんプロフィール
フリーアナウンサー。絵本専門士。育児セラピスト2級。東京女子大学卒業後、1999年TBSテレビ入社。「サンデー・ジャポン」「はなまるマーケット」「CDTV」など、バラエティや情報番組のアシスタントを務めるほか、ラジオでも活躍。2008年退社。2007年結婚、米国での生活を経験し、2014年帰国。現在、映画関連の仕事を多く担当。日本語と英語による絵本の読み聞かせの活動もしている。
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