他人の体を乗っ取り、自分に都合が良いように操ることができたら......。SF映画や物語の空想の世界の話は、実は日常で起こっている。
...と言っても、人間界の話ではない。動物や昆虫の中には、他の生き物の体を乗っ取ったり、共食いしたり、子育てを押し付けたり、ヒドイことをして生き延びる種がたくさんいる。
そんな生き物たちの驚くべき生態を明らかにした『天才(ワル)すぎる生き物図鑑』(KADOKAWA)が7月7日に発売された。本書は、大人気の「へんないきもの」シリーズを担当した早川いくをさんと人気漫画家の和田ラヂヲさん、花小金井正幸さんによる世代を問わずに楽しめる生き物マンガ&解説本である。
テーマは、「生き物たちのワルで天才的な生存戦略!」。真面目な魚たちを騙して子育てを押し付けるナマズや、可愛いテントウムシをゾンビに変えてしまうハチなど、自然の中には生きるために他の生き物を利用する世渡り上手な生き物がたくさんいる。
各章のマンガがシュールで、笑いながらも背筋がゾクっとする。ここでは、「寄生する天才(ワル)」から、「テントウムシは二度死ぬ」を紹介しよう。
ハチに卵を産み付けられ、寄生されていることも知らずに「アブラムシうめえな」とムシャムシャ栄養補給をするナナホシテントウのホシノくん。心と体を支配され、ついにはおなかから幼虫が......!そんなひどいことをされながらも、外敵から幼虫を守るゾンビと化してしまう。恐ろしい話だ。
なぜ、ハチがこんなひどいことをするのか、解説も読みやすく、面白い。
ワルで、しぶとくて、生きることを諦めない。そんな生き物たちから学ぶことは多い。
「ワルとは天才なのだ! 自然が生き物たちにあたえた、天才的な能力なのだ。人間の法律も、道徳も、まったくカンケーない。ワルで、しぶとく、ぬけめない、生き物たち。そんな生き物たちの天才ぶりを見て、おどろき、笑い、そして知ってほしい。ぼくらのすんでいる地球という惑星が、天才生物がひしめく、奇跡の星なのであることを。」(本文より抜粋、一部編集)
目次は下記の通りだ。
はじめに
本書の使い方
寄生する天才(ワル) テントウハラボソコマユバチ 天才ストーリー(1) テントウムシは二度死ぬ
大草原の天才(ワル) プレーリードッグ 天才ストーリー(2) 仁義なき子育て
ドレイ狩りの天才(ワル) サムライアリ 天才ストーリー(3) サムライ軍団ドレイ狩り
変身する天才(ワル) サンショウウオ 天才ストーリー(4) トモダチをトモグイ
獲物をあやつる天才(ワル) エメラルドゴキブリバチ 天才ストーリー(5) エメラルドとゴキブリのブルース
ペンギンを狩る天才(ワル) ヒョウアザラシ 天才ストーリー(6) 氷点下でほっこり
母を食う天才(ワル) ムレイワガネグモ 天才ストーリー(7) なつかしい母の味
天才(ワル)なやつらに、ねらわれる 子ガメ 天才ストーリー(8) 突撃! 天敵インタビュー
ヒトデ狩りの天才(ワル) フリソデエビ 天才ストーリー(9) 夫婦仲よくヒトデ殺し
子育てサギの天才(ワル) カッコウナマズ 天才ストーリー(10) 子育てサギにご用心!
あとがき
著者プロフィール は下記の通りである。
■早川いくをさん
1965年東京都出身。多摩美術大学卒業。「へんないきもの」シリーズが累計55万部のベストセラーとなり本格的な作家活動に入る。著書に『うんこがへんないきもの』(KADOKAWA)、『怖いへんないきものの絵』(幻冬舎)など。
■和田ラヂヲさん
ギャグ漫画家。1964年愛媛県出身。主な作品に『和田ラヂヲのここにいます。』(集英社)、『やばい日本史』(ダイヤモンド社)など。
■花小金井正幸さん
漫画家兼イラストレーター。主な作品に『会社をやめて喫茶店はじめました』(イースト・プレス)など。
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