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「名著」がもたらす3つの効果

ビジネスエリート必読の名著15

 毎年出版されるビジネス書は6000タイトルを超えるという。知らぬ間に、名著に触れる機会を逃しているかもしれない。そこで紹介したいのが、ビジネスパーソンのための良質なブックガイドである。

 大賀康史さん著、グロービス監修の本書『ビジネスエリート必読の名著15』(自由国民社)は、「ビジネス書グランプリ」で選ばれた名著15選を紹介した一冊。大賀さんは、いまやビジネスパーソンや就活生必携の本の要約サービス「flier(フライヤー)」の創業者だ。

 「ビジネス書グランプリ」とは、その年に発売されたビジネス書の中から読者(=ビジネスパーソン)が有意義だと感じたものを選んで投票する形式をとっている。

 「評判になっている本は間違いなくそれだけの理由がある、ということです。その中でもビジネス書グランプリで受賞された作品は、文句なしに名著ばかりです」

名著がもたらす3つの効果

 はじめに「名著を読むことによって、3つの重要な効果が得られる」と書いている。

 1つめは、「自分を知る」。名著には、人が普遍的に悩むこと、個性を理解するためのヒントが多く込められている。名著の教えを学ぶことで、自身への理解を深めることができる。

 2つめは、「世の中を知る」。名著は、著者の苦労の末に生み出された研究成果を、ショートカットして理解することができる。

 3つめは、「行動を変える」。名著を読むことで、行動を邪魔する不安に打ち克ち、歩みを進めることができる。

 本書は「序章 対談 いま、『ビジネス書』を読む意義とは?」「第1章 自己啓発」「第2章 ビジネス実務」「第3章 政治経済」「第4章 イノベーション」「第5章 マネジメント」「第6章 リベラルアーツ」の構成。以下の15冊を取り上げている。

1 『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』
2 『多動力』
3 『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』
4 『メモの魔力 The Magic of Memos』
5 『学びを結果に変えるアウトプット大全』
6 『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』
7 『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
8 『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』
9 『イーロン・マスク 未来を創る男』
10 『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』
11 『売り上げを、減らそう。 たどりついたのは業績至上主義からの解放』
12 『ワーク・ルールズ! 君の生き方とリーダーシップを変える』
13 『学校の「当たり前」をやめた。 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革』
14 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
15 『ホモ・デウス(上・下) テクノロジーとサピエンスの未来』

 「グランプリを受賞した背景」「この本の全体像」「自分ならではの解を見つける閃きポイント」「しびれる一文と解説」「これからの時代を生きる人へ」の項目について、一冊ずつ丁寧に紹介している。

「迷いを振り払ってくれる一冊」

 ここでは、堀江貴文さんの『多動力』を紹介しよう。大賀さんがつけた本書のテーマは「寿司屋の修行には意味がない!? 小利口にならず、行動するバカになれ!」。

 日本人は、修業、下積み、球拾いという我慢の期間があることを自然だと思っている。しかし、「満足いくほどの準備はいつまでたってもできません。今すぐに行動をして、あとから修正すればいいのです」としている。大賀さんが選んだしびれる一文はこれだ。

 「この、あらゆる産業のタテの壁が溶けていく、かつてない時代に求められるのは、各業界を軽やかに越えていく『越境者』だ。そして、『越境者』に最も必要な能力が、次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる『多動力』なのだ」

 大賀さんは「成功のための本質を痛快に描いた本書は、あなたの行動の邪魔になる迷いを振り払ってくれる一冊」と評価している。

「本質が語られた傑作」

 もう一つ、ハンス・ロスリング氏の『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』から。大賀さんがつけた本書のテーマは「世界を正しく見るためのとっておきのレンズとは」。

 著者は、2015年9月に余命2ヶ月、もって1年という末期のすい臓がんであると知った。そこで、予定していた67の講演をキャンセルし、人生の最後にこの本を書いたという。大賀さんが選んだしびれる一文はこれだ。

 「わたしは楽観主義者ではない。(中略)わたしはいたって真面目な『可能主義者』だ。『可能主義者』とは、根拠のない希望を持たず、根拠のない不安を持たず、いかなる時も『ドラマチックすぎる世界の見方』を持たない人のことを言う」

 大賀さんは「多くの人にとっても生きる力になる本です。そして、親しみやすい文章でありながらも応用範囲の広い本質が語られた傑作」と評価している。

 「読書は本を読んで終わりではありません。実際に未来の行動が変わってこそ意味があります。そして、名著と呼ばれる本には、その力が備わっています」

 まずは本書でポイントをつかみ、それから実際に読む本を選んでみることをおすすめしたい。名著15冊のレビューを一度に読める本書は、これ以上ないほど参考になるブックガイドではないだろうか。


■大賀康史さんプロフィール

 株式会社フライヤー代表取締役CEO。早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻修了。2003年アクセンチュア(株)製造流通業本部に入社。同戦略グループに転属後、フロンティア・マネジメント(株)を経て、13年6月株式会社フライヤー設立。



 


  • 書名 ビジネスエリート必読の名著15
  • 監修・編集・著者名大賀 康史 著、グロービス 監修
  • 出版社名自由国民社
  • 出版年月日2020年11月24日
  • 定価本体1680円+税
  • 判型・ページ数四六判・272ページ
  • ISBN9784426126636

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