東日本大震災から10年の節目となる今年、『柴ばあと豆柴太 3』(講談社)が3月9日に緊急発売された。本書の1、2巻は東北地方で流通しており、他の地域だと手に入りにくい。まさに、隠れた名作だ。
本作は、東日本の架空の港町・福音浜でお弁当屋さんを営む頑固なおばあさん・柴ばあと、元気いっぱいで町のみんなが大好きな豆柴犬・豆柴太の一人と一匹の日々を描いた感動作だ。主人公の豆柴太は、自分を人間で、柴ばあの孫だと思っている。
東北を中心に心ある書店員さんの応援でひっそりと売れ続け、重版を重ねているという。中には3人が読んで全員最初の4ページで泣いてしまい、「職場ではこれ以上読めなくなった......」と、150冊を仕入れた福島の書店もあるそうだ。
NHK「あさイチ」(2月26日放送)の「特選!エンタ」では「おすすめ犬マンガ」として、「なにしろ豆柴太がかわいい」と紹介された。犬好きの方にはぜひ手に取ってほしい。
本作は豆柴太の視点で語られる。福音浜の人々の悲しみに一生懸命寄り添おうとする豆柴太の姿に心打たれる。
1巻に解説を寄せたD4P代表理事・フォトジャーナリストの佐藤慧さんは、自身も震災で母を亡くしている。
「柴ばあと豆柴太が紡ぐ日々のように、それぞれの内にある世界にそっと心を寄せていくこと、その淡い重なり合いが、豊かで優しい社会を築いていくために必要なものだと思う」
【内容紹介】
「ボク、豆柴太。ボクは東北の港町で、お弁当屋を営む柴ばあと、二人で暮らしてる。この町では、たくさんのひとが、何かを背負って生きているんだ......。大地が揺れて、大きな波がやってきたあの日、ボクと柴ばあは出会った......」
死者1万5899人、行方不明者2529人、国内最大級の被害をもたらした東日本大震災から10年。「大切なひとを失うって?」「絆って?」「家族って?」そして「痛みからの再生って?」 読む人それぞれに答えがある問題を問う、今一番読んでよかった本。悲しみを背負いながら、ゆっくり確実に日々を生きる人々の痛みと再生を、豆柴犬の目線で、あたたかく切なく描く。
【第3巻のストーリー】
あの日から10年。また福音浜を大きな水害が襲う。あの日、自分の力では限られた人の命しか救えなかったことに苦しみ続けている消防士・阿子島は、自分を痛めつけるかのように命がけで災害救助に挑む......。しかし......? 福音浜に暮らす人々のそれぞれの10年の痛みと前を向く勇気が重なって......。
また、本書には可愛らしい4コマ漫画も収録されており、癒される。
東北の人に寄り添った感動作として話題の本作。10年の節目に、じっくりと読んでみてはいかがだろうか。
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