マスク、除菌、換気、ソーシャルディスタンス以外にも、コロナ禍の新習慣にしたいものがあるという。それは「免疫力を高める食事」。
「『食』こそ最強の『感染症対策』です!」――。森由香子さんの本書『免疫力は食事が9割』(青春新書プレイブックス)は、管理栄養士が教える「負けない体」の食事術が満載の一冊。
「新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている今、私たちは自身で免疫力低下を防止し、健康を維持していかなければなりません」
管理栄養士で日本抗加齢医学会指導士の資格を持つ森さんには、いつも患者に伝えていることがある。
「私たちのからだは自分の食べたものからできているということ。免疫力を高めるのも、弱めるのも、自分自身が源になっているのです」
近年の研究で、食事からのたんぱく質補給が不足すると免疫細胞の働きが悪くなる、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEが免疫細胞を活性化させるなど、食品に含まれる特定の成分が、感染防止にかかわる免疫系と深くかかわっていることが明らかになってきたそうだ。
近頃メディアで「免疫力」とよく聞くようになったが、森さんはこう注意喚起する。
「その情報は玉石混交で、1人ひとりのヘルスリテラシー(健康を決める力)が問われるようになりました。(中略)本書では、巷でいわれている情報の真偽、古い情報の更新、新しい健康情報について、わかりやすくお伝えしています」
本書は、食材、調理法、食習慣などから「免疫力を高める食事」を解説。専門用語がむずかしく感じるところもあるが、全体的にかみ砕いている。
1項目2、3ページの構成で計66項目。「ティータイムには、お茶の代わりに『だし汁』がいい!」「フルーツは"皮ごと食べる"が、免疫的には正解!?」など、これまでの常識、思い込みをくつがえす「栄養情報」がズラリ。
第1章 免疫細胞が目覚める食べ物があります
第2章 食べ方だって、免疫力に影響します
第3章 免疫力に大切な睡眠の質は、食事で決まります
第4章 免疫力のためにも、腸内環境を整えましょう
第5章 免疫に必要な栄養が足りていないかもしれません
第6章 糖化と酸化を防げば免疫力が維持できます
まず、「ごはんを炊くとき、コレを加えると免疫がアップする!」を紹介しよう。ごはんには、免疫力アップに欠かせないたんぱく質が含まれているという。これをしっかり摂取するための、ちょっとした工夫とは......。
「ごはんを炊くとき、豆乳を加えるのです」
栄養面の解説は本書に譲るとして、炊き方は、お米2合に対して水100ml、成分無調整豆乳260~270mlほどを加えて、水加減を調整する。お好みでほんの少し塩を加えて、あとは普通に炊くだけ。
もう一つ、タイトルが最も気になった「免疫力のために、あまり食べたくないメニューのベスト5とは」から。
「私たちのからだをサビさせる酸化と、私たちのからだをコゲさせる糖化は、どちらも免疫力と健康維持の大敵です」
あまり聞きなれない糖化とは、食べ物からとった糖が血中でたんぱく質と結びつくことで、最終的にAGEs(終末糖化産物)をつくり出し、からだを老化させ、病気にかかりやすくする現象。
「AGEsの悪影響からからだを守るためには、糖のとりすぎに注意し、AGEsが多く含まれている食品を避けるしかありません」
AGEsが多いメニューには、カツカレー、ミックスピザ、カルボナーラスパゲッティ、唐揚げ、フライドポテトなどがあるという。「こんがりとおいしそうな焼き色がついた食材は、基本的にAGEsが多いと思ってだいたい間違いありません」とは、残念だ。
「食」は好みも習慣も人それぞれ。本書の「食事術」には、自分の食生活にはなじまないものもあるかもしれない。ただ、興味のある項目をピックアップして読むだけでも勉強になる。「免疫力を高める食事」も近いうちに、感染症対策のスタンダードになるかもしれない。
■森由香子さんプロフィール
管理栄養士。日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業後、大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。クリニックで栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事。三國清三シェフとともに、病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本の制作を行う。抗加齢指導士の立場から「食事からのアンチエイジング」を提唱している。
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