黒鳥英俊さんの著書『恋するサル 類人猿の社会で愛情について考えた』(CCCメディアハウス)は、動物好きな人だけでなく、ちょっと人間関係に疲れたという人にも手に取ってもらいたい一冊だ。
黒鳥さんは、長年、上野動物園や多摩動物園で、飼育員としてゴリラ、オランウータン、チンパンジーなどの大型類人猿を担当してきた。 飼育員といえば、動物の世話を「してあげる」というイメージを持つが、黒鳥さん曰く、「そうではなく、動物に『仕えている』というスタンスで仕事をするのが、彼らと仲良くするコツ」。
本書には、飼育員が見た「男女の愛」「血を超えた親子の愛」「種を超えた愛」など、心に響くエピソードが綴られている。
日々、担当する中で彼らのほうがずっと賢いと思うことがよくあったそうだ。たとえば、言葉を持たないゴリラを納得させようとすると、その場しのぎのごまかしや嘘、先送りは通用しない。納得するまで、相手としっかり向き合わなければならない。
黒鳥さんは以下のようにコメントしている。
「言葉があるせいで誤解し合ったり、もめたりしてしまう私たちのコミュニケーションに比べると、ゴリラとのコミュニケーションはシンプルだが、心を通わせるという意味においては、ずっと本質的かもしれない。
大型類人猿と私たちとでは流れる時間が少し違う。それでも、焦らず、支配しようとせず、理解しようとする。種を超えた生き物どうしが仲良くする秘訣であり、これは違う人間どうしが仲良くする場合のヒントとなるかもしれない」
印象的なのは、「焦らない。支配しない。理解する。」という言葉。これは私たちの恋愛や夫婦関係、子育てにも共通した大切なキーワードではないだろうか。
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