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28歳、「恋愛女子」たちはどう生きるか

28

本書は、28歳の5人の女子による、リアルなガールズトーク小説だ。

 渋谷のフレンチビストロで、高校卒業から10年経った5人が再会する。高校の休み時間に戻ったような空間で、乾杯しながらこれまでの出来事を語り合う。同窓会の場面と、1人ずつの過去の回想の場面が交互に出てきて、5人のバックグラウンド、性格、悩みが描かれている。

 夢は、玉の輿に乗り、SNSに完璧な料理をアップし、恵まれた専業主婦に見える一方、子どもが欲しくて悩んでいる。愛は、雑誌編集者として多忙な生活を送る一方、昔から母親が大の苦手で、母親のように結婚という手段ではなく、自分の力で幸せになってみせると思っている。渚は、女性が恋愛対象で、この先が平坦な道のりではないことを覚悟の上で、彼女と家族になりたいと思っている。円は、出産を機に仕事を辞めたことを悔やんでいて、働いていた時の自分を懐かしく思っている。さくらは、仕事も遊びも恋愛も夢中になれずふわふわしていて、いつもどこかさみしさを感じている。 

 「自分に囚われるのをやめて、なんとなく頭の中にある年齢像とか女性像とかに縛られなかったら、肩の力を抜けるようになった。もう28歳ってわたしは思わないよ」「女って最高。人生って最高。大人ってなんて最高。28歳のあたしたち。5年後、10年後はもっと最高の人生を歩んでると思えるのは、思いっきり今を生きているからだ」

 専業主婦、結婚に消極的なキャリアウーマン、同性愛者、子育て中の専業主婦、仕事も恋愛も充実していない未婚者。卒業後の10年、5人は多様な人生を選択して、それぞれの境遇にいる。立場を超えて、本音で語り合い、未来に向かって新たなスタートを切る。高校時代に芽生えた友情は、10年経った今、より強いものになる。

 本書は『anan』(マガジンハウス)2060号~2079号の連載に大幅に加筆し、単行本化したもの。連載で多くの共感を得たのは、自ら選択した道を生きる人へのエールが送られているからだろう。彼女たちの同窓会に同席している感覚で読めて、どこかできっと共感する言葉に出会える。

 著者の加藤ミリヤは、1988年生まれのシンガーソングライター。14歳から作詞作曲を始め、16歳でメジャーデビューを果たす。2011年に初めての小説『生まれたままの私を』(幻冬舎)を発表し、以降も執筆をつづけ本作で5作目となる。

(BOOKウォッチ編集部 YT)
  • 書名 28
  • 監修・編集・著者名加藤 ミリヤ 著
  • 出版社名株式会社ポプラ社
  • 出版年月日2017年11月25日
  • 定価本体1200円+税
  • 判型・ページ数四六変型判・223ページ
  • ISBN9784591154168

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