テレビドラマ「半沢直樹」(TBS系)のセカンドシーズンが始まり、高視聴率を記録している。
作家・池井戸潤さんの原作。『半沢直樹 オレたちバブル入行組』から続く半沢直樹シリーズは、9月17日に新刊『半沢直樹 アルルカンと道化師』(講談社)が発売される。
第1回の記事「半沢直樹が銀行マンの原点に戻った!」では、池井戸さんが本作の執筆を決めた動機を聞いた。
第2回は、テレビドラマの感想や今後の執筆予定についてお届けする。
―― テレビドラマ「半沢直樹(セカンドシーズン)」が放送中です。原作者としての感想は?
池井戸 主演の堺雅人さんをはじめ、舞台出身の役者さんたちの底力を見せつけられた思いです。セリフの多いドラマですが、聞き取れないことはまったくありませんしね。小悪党役まで実力派俳優が集い、お馴染みの香川照之さん、片岡愛之助さんなど、歌舞伎役者さんたちの外連味のある演技も楽しませてもらっています。
原作とかけ離れた設定もありますが、むしろその方が気楽だし、なにより新鮮な気持ちで観られるからいいですね。ドラマ制作サイドに、基本的にはお任せしていますし、一視聴者として毎週日曜日夜9時を楽しみにしています。
ドラマは小説とは別物であり、原作者は制作とは本来無関係だということは、改めて申し上げておきたいところです。
原作者として作品に口を出すことはありませんし、制作サイドから何か相談を受けたときだけ答えるようにしています。同様に、キャストについても一切口を挟みません。今回の高視聴率も彼らの功績だと思っています。
―― 銀行にいた友人から登場人物のモデルがいると聞きましたが、そういうことはありますか?
池井戸 毎度申し上げていることですが、「半沢直樹」の登場人物にモデルはいません。自称・他称にかかわらずモデルを名乗る人は全て「ニセ者」です。
いろいろな銀行の方から「うちがモデルですよね?」と言われるのですが、それもありません。すべて想像で書いています。
一方、新作「アルルカンと道化師」については、美術界で実際に起きたことにインスパイアされている部分もあります。ここで述べるとネタばれになるので、実際にお読みになった後に調べてみると面白いかもしれません。
―― 新型コロナウイルスの影響は何かありましたか?
池井戸 ゴルフや会食の予定がすべてなくなったので、執筆がとてもはかどりました。一日(400字詰め原稿用紙換算で)20枚くらいのペースで本作を書きました。とはいえ、必要な外出はしていましたが。
―― アフター・コロナとかポスト・コロナと言われていますが。
池井戸 メンタリティーや言葉の選び方に影響があるかもしれません。
―― インタビュアーが最初に読んだ池井戸さんの作品は『BT'63』(朝日新聞社刊、2003年)という作品ですが、何か感想は?
池井戸 私がいちばん気に入っている作品です。でもいちばん売れなかった作品(笑)でもある。ハリウッドに売れる作品があるとしたら、『BT'63』だと思っています。
―― 今後の執筆予定、取り上げたいテーマは?
池井戸 『民王』の続編を準備しています。その後は、シリーズではなく独立した長編を書く予定です。新長編は、会社が舞台ではないものを書こうかと思っています。
『半沢直樹』、また『下町ロケット』については、今後も不定期ではありますが、シリーズを書き続けていくつもりです。
―― 最後に当記事をお読みの皆様に一言お願いします。
池井戸 新作「半沢直樹 アルルカンと道化師」はミステリーとして書いた作品ですので、期待していただければ、と思っています。
池井戸潤(いけいど じゅん)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。'98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木賞を受賞。主な著書に「半沢直樹」シリーズ、「下町ロケット」シリーズ、「花咲舞」シリーズ、『空飛ぶタイヤ』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『陸王』『民王』『アキラとあきら』『ノーサイド・ゲーム』などがある。最新刊は『半沢直樹 アルルカンと道化師』。
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