今世界中で感染拡大している「新型コロナウイルス」をテーマにした新作『コロナ黙示録』を執筆した海堂尊さんへのインタビュー。
第1回の記事「"誰にでも起こりうる選択肢"を考えてほしくて」では、海堂さんが本作の執筆を決めた経緯を聞いた。
第2回は、「チーム・バチスタ」シリーズから続く桜宮サーガの作り方や、ファンへ向けたメッセージをお届けする。
――本作は「コロナ」をテーマにしつつも、しっかりと桜宮サーガの世界観がハマっているところが読みどころです。ファンの方にとっても嬉しかったのではないでしょうか。
海堂 ファンの中には、僕よりも桜宮サーガの詳細を覚えてくれている人もいるのです。「この人が此処へ来たのは因縁だね」と言われて思わず、「おお、確かに!」と思ったシーンもありました。
――新作を発表するたび、桜宮サーガに対しての反応があるのですね。
海堂 書けば書くほど、過去の作品からの拘束がきつくなっていることに気づきました。桜宮サーガは、過去作の積み上げで作り上げられているのだと思います。一見、僕が主宰者のように見えて、実は、過去の設定やストーリーが折りなすクラウド・ワールドが主宰者なのです。
――「チーム・バチスタ」シリーズから桜宮サーガを書き続けている海堂さんならではの悩みですね。
海堂 ファンの方が見ていると思うと迂闊なことはできないなと(笑)。間違ったことをすると天罰として指摘が降ってくるのですよ。
――では、本作で「書いておけばよかった!」と思ったことはありますか。
海堂 「田口先生は何故、名村教授(感染症研究所)の名前の由来を聞かないのだ」とファンの方に指摘されて、「これは書き足したい!」と思いましたね。書けば書くほど自由な展開にできない部分も多々出てきているので、自分の首も絞めているなと思いました。今はもう一つ、新しい病院棟が欲しいと考えているところです(笑)。
――改めて、「チーム・バチスタ」シリーズからのファンへ向けて、メッセージをお願いします。
海堂 桜宮サーガはまだまだ広がるので、しっかりと予習・復習しておいてください。同時に、今の日本の時事問題を分かってもらえるといいなと思っています。
――本作で初めて、桜宮サーガに触れる方もいらっしゃると思います。
海堂 桜宮サーガは、地方都市代表のパラレルワールドなので、どの都市の人が読んでも納得できる内容だと思います。
――そういった意味では、自分ゴト化しやすいですね。
海堂 はい。あとは今、日本で起こっていることを正確に簡潔に描いたので、いろいろなことが理解できると思います。生まれて初めて、自分で締め切りを設定して、そのせいで死に物狂いで書かなければならなくなってしまった作品なのですが、あまり難しく考えずに楽しんでもらえればと思います。
■プロフィール
海堂尊(かいどう たける)
1961年、千葉県生まれ。医学博士。外科医、病理医を経て、現在は国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所・放射線医学総合研究所病院に勤務。第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『チーム・バチスタの栄光』にて2006年デビュー。同シリーズは累計発行部数1000万部を超える。
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