新型コロナウイルスの感染がまだ広がる前、書店の料理本コーナーでよく売れていたのが、本書『藤井弁当』(学研プラス)だ。「お弁当はワンパターンでいい!」という副題が、弁当作りにあれこれ悩まなくてもいい、と読者の琴線にふれたようだ。学校が休校だったり、在宅勤務になったりして、弁当作りから解放されたという人も今は多いかもしれない。日常生活が戻ったときに備えて、この本で弁当作りのスキルアップをしてはどうだろう。
料理研究家で管理栄養士の藤井恵さんは、二人の娘さんのために15年ほど弁当を作ってきた。さまざまな状況の中で、いかにストレスなく作れるのか。たどりついた結論が、「お弁当作りをパターン化すること」だった。
そして、使うのは卵焼き器だけ。おかずは3品。肉や魚介の主菜も野菜の副菜も、卵焼きもすべて卵焼き器で作る。このシンプルさが人気の秘密のようだ。その作り方はこうだ。
1 お湯を沸かして野菜をゆでる ゆでた野菜を調味料で和えれば副菜が完成 2 お湯を捨て、卵焼きを作る ほとんど汚れないので、そのまま次の調理へ 3 最後に肉や魚介で主菜を作る
お試し5日間ということで、以下の5つをまず紹介している。
お弁当1 鶏肉の塩こしょう焼き、塩ゆでブロッコリー、甘辛卵焼き お弁当2 ポークチャップ、塩ゆでアスパラ、バター風味の卵焼き お弁当3 塩ざけ焼き、いんげんのおかか和え、ごま油香る卵焼き お弁当4 豚肉のしょうが焼き、キャベツナムル、オリーブ油風味の卵焼き お弁当5 鶏そぼろ、塩ゆで絹さや、炒り卵
評者も実際に「お弁当1」を作ってみた。おかずを作る前に温かいご飯を弁当箱に詰め、そのまま置いて冷ましておく。次に卵焼き器に水1カップ、塩小さじ1を入れて沸かす。沸騰した湯にブロッコリー(50グラム)を入れ、1分30秒ゆでる。
次に湯を捨て、卵1個に水大さじ1、砂糖大さじ2分の1、しょうゆ小さじ3分の1を混ぜてときほぐしたものを卵焼き器で焼く。適度なサラダ油をひき、半量ずつ焼く。
最後に塩こしょうした鶏もも肉を焼く。
3等分した卵焼きを入れ、次に鶏肉を詰め、すき間にブロッコリーを詰めて完成した。
以上がパート1で、パート2では肉と魚介のおかず集として41のレシピ、パート3では野菜のおかず集として40のレシピを紹介している。
ブロッコリーでも、ごま和え、粉チーズ和え、梅和え、マヨ七味和えとレパートリーがある。
パート4は卵焼きのアレンジレシピが18種類。なめたけ入り、かにかま入り、キムチ入り、じゃこ入り、桜えび入りなど、卵焼きにもいろいろあるので、飽きない。
評者はこれまで、昼はもっぱらコンビニ弁当を食べていた。しかし、500円台の幕の内弁当は量が多すぎる上に揚げ物のカロリーが気になっていた。とは言え、300円前後のしらすや鶏そぼろの入った弁当は量が少なくて物足りなかった。
藤井さんの弁当ならば、長続きしそうだし、健康にも良さそうだ。何よりふところにも優しい。
前日余裕があれば、野菜をゆでておくとさらにラクだ。10分もかからない感じだ。
道具や弁当箱は清潔に。ご飯は詰めてから冷まし、おかずもしっかり冷ましてから詰めましょう。食材には完全に火を通すこと。おかずの汁気を完全に切りましょう、と弁当の傷みを防ぐポイントを書いている。
藤井さんは、「お試し5日間」を繰り返すと、体が弁当作りを覚えるようになる、と呼びかけている。
在宅勤務のうちに練習しておき、出勤できるようになったら、「弁当デビュー」してみたらどうだろうか。一人暮らしの男性諸君!
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