「オカマ×お釜!?」とプレスリリースにあるので、「これは色物か?」と思って、手にしたら、実にまじめな料理本だった。本書『美しすぎるニューハーフ料理研究家のお釜ごはん』(マキノ出版)は、18歳で女性として生きていくことを決意し、ニューハーフ美容研究家として活動してきた岡江美希さんの料理研究家としてのデビュー作だ。
岡江さんは1971年、兵庫県の淡路島生まれ。幼いころから"世界一の美女"に憧れ、アニメ「銀河鉄道999」のヒロイン、メーテルがヒロインだった。心は乙女だったが、思春期になるとニキビに悩まされ、体はゴツくなっていく現実。18歳で実家を飛び出し、大阪でバーテンダーとして働き始めた。
夜の仕事で多くのニューハーフと出会い、1年もたたないうちに豊胸手術を受け、「岡江美希」として、新しい人生のスタートを切った。
北新地の店でナンバーワンに上りつめ、22歳で上京。性別適合手術で女性の体を手に入れ、六本木のニューハーフショーで有名な店でメインダンサーも務めた。
しかし、ダンスがあまり好きになれず、広告代理店の経営を始めたころから、肌の悩みに直面した。カンフル剤のようにエステに通うが効果は一時的。ある医師との出会いからオリジナルの化粧品の開発に着手、現在社員40人を擁する株式会社トリプルサン(本社・東京都新宿区四谷)を経営している。
さて、前置きが長くなったが、美容と食事は関連するそうだ。肌の手入れとともに食生活の改善にも取り組み、2016年から料理教室も始めた。そこで着目したのが、"ごはん"だった。しかも白米ご飯よりも炊き込みご飯(お釜ごはん)。量が同じでもカロリーは25%も減る。本書では、「岡江式お釜ごはん」の基本と和洋中45のレシピを紹介している。
まず、5つのメリットがあるという。
・料理が苦手な人も簡単に作れる ・品数が少なくても、栄養バランスのよい食事がとれる ・食材の栄養をロスせずヘルシーにとれる ・作り置きOKなので毎日の炊事が省略できる ・華やかな見た目で、おもてなし料理にも大活躍
さて、レシピだが、王道の鮭の炊き込みごはんは、肌のリフトアップ効果があるので、たるみ防止にイチ押しだという。牡蠣めし、あさりごはん、イカスミごはんなど魚介類を使ったものから、トマトの炊き込みごはん、ブルーベリーごはんなど野菜や果実を使ったものもある。
ジャンルとしては「スベスベになる美肌ごはん」「サラサラになる美髪ごはん」「美の基礎を作るデトックスごはん」「体形が変わるダイエットごはん」、このほかに副菜のおかず、サラダ、スープも紹介している。
炊き込みごはんというと、市販の具材入り調味料を使う人が多いと思うが、食材はなんでもよく、米にみりん、酒、しょうゆとだしを入れれば簡単にできることがわかる。
岡江さんはあとがきで、「おいしい料理を自分で作れるようになることは、セルフ幸福度を上げる確実で重要なスキルのひとつだと思います」と書いている。
炊飯器ひとつで、おいしい主菜ができるのだから、コスパもいい。肌と髪の効果はともかく、評者もこの秋は「お釜ごはん」をレパートリーに加えようと思った。
BOOKウォッチでは、ニューハーフの矢部慎太郎さんが書いた『慎太郎ママの「毎日の幸せ探し」』(講談社)も紹介している。彼女(彼)らの才能には驚くばかりだ。
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